京都スマートシティエキスポ2019でMaaS GlobalのCEOなどが講演

(日本、フィンランド)

地方創生推進課

2019年10月16日

「京都スマートシティエキスポ2019」が10月3日、4日に開催された。海外からは、MaaS(注)関連サービスを提供するフィンランドの企業MaaS Globalのサンポ・ヒータネン最高経営責任者(CEO)や、スペイン・バルセロナで開催されるモバイル関連の展示会「モバイル・ワールド・コングレス」と併催されるスタートアップイベントでジェトロもジャパンパビリオンを設置する予定の「4YFN」のグローバル・エンゲージメント・マネジャーのジュリア・モッテラン氏らが講演した。

MaaS Globalには日系企業の出資が相次ぎ、日本においても10カ所以上でサービス展開を計画していることを公表しており、注目を集めている。登壇したヒータネンCEOは、日本で法人を設立して日本人担当者を置いていることを初めて明らかにし、日本での事業拡大の姿勢を示した。また、MaaSサービスを展開する上で重要な要素として、(1)公共交通機関のMaaSサービスへの接続、(2)行政による事業環境整備、(3)MaaSサービスやあらゆる交通手段をつなぎ、利用できる単一のプラットフォームの存在、(4)複数のMaaSサービスがプラットフォーム上で競争し、消費者に複数の選択肢を与える環境の4つを挙げた。日本では各交通事業者が別々にIT技術を計画し導入しているため、結果として互換性に欠け、MaaSが拡大しづらくなっているとして、ITや関連システムの導入はできるだけオープンに検討してほしいと要望した。

日本からは、WILLERの村瀬茂高代表取締役が講演を行った。村瀬氏はベトナムやシンガポールにおける同社のMaaSの取り組みを紹介するとともに、日本では人口の少ない地域でのバスサービスが住民のニーズに適合し切れていない点を指摘した。また、IT技術を活用した自動運転によるオンデマンドのバスサービスのような、従来とは異なるサービスを創出し、本数増などによるサービス改善を図ることで、地方での移動課題の解決に貢献するとともに、大都市部では生まれにくい革新的な交通サービスを生み出すことができるとの見方を示した。

(注)Mobility as a Serviceの略。移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ「移動」の概念。

(山内正史)

(日本、フィンランド)

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