資本規制策を強化、個人の両替は大幅に引き下げ月額200ドルを上限に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年10月29日

アルゼンチン中央銀行は10月28日、コミュニケA6815/2019外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます号を官報公示し、個人による米ドルへの両替額の上限を、これまでの月額1万ドルから、ホームバンキング経由の場合は月額200ドル、現金による場合は月額100ドルに大幅引き下げすることを発表した。即日施行された。

ギド・サンドレリス中銀総裁は28日朝の記者会見で、今回の変更は10月27日の大統領選挙の結果を受けたもので、12月10日に就任するアルベルト・フェルナンデス次期大統領への政権移行期間を通じて外貨準備高を維持し、次期政権に政策の裁量を与えるための措置であることを説明した。

外貨準備高は2019年に入ると600億ドル台で推移してきたが、8月11日の大統領選挙の予備選挙でマウリシオ・マクリ大統領が大敗した後、先行き不安から減少を続け、本選挙直前の10月25日には435億300万ドルまで落ち込んだ。そのうち、ネットの外貨準備高は80億ドル程度と伝えられていた。

フェルナンデス次期大統領は選挙終盤、10月28日以降の為替下落や外貨準備高減少をマクリ政権が容認しないようにくぎを刺しており、その意向を受けて中銀が今回取った対策が資金規制の強化になったと報じられている(「クロニスタ」紙10月28日)。

資本規制の強化は、為替の公定レートの安定を表面上は図れるにしても、闇レート(ブルーレート)との乖離が広がることにもつながる。特に9月1日に資本規制策第1弾が導入されてからその傾向が出ている。例えば、10月25日の終値は公定レートが1ドル65ペソを記録したが、ブルーレートは75.75ペソと16.54%の乖離となった。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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