8月の自動車生産台数は8.2%減、4カ月連続の減少

(タイ)

バンコク発

2019年10月02日

タイ工業連盟(FTI)は9月17日、2019年8月の自動車生産台数が、前年同月比8.2%減の16万6,361台だったと発表した。4カ月連続の減少となった(表参照)。内訳は、国内向けの生産台数が2.0%減の8万3,021台、輸出向けが13.7%減の8万3,340台だった。

表 タイの上半期および8月の自動車生産台数

世界経済の減速に加え、自動車ローン審査厳格化も影響

FTIによると、生産台数が落ち込んだ原因として、輸出向けは世界経済の減速や米中貿易摩擦の影響、国内向けは自動車ローン審査の厳格化などの影響を挙げた。

生産台数減少の原因にもなった自動車ローンの厳格化は、タイ中央銀行(BOT)の家計債務の増加抑制のための施策の1つだ。ウィラタイ中銀総裁は家計債務の増加に関し、「雇用情勢が良好で、仮に所得が増えたとしても、国民は借金返済に追われ、国内消費が拡大しない。高水準の家計債務は、経済発展の障害ともなる」と述べ、懸念を表明した。BOTは、家計債務の増加を防ぐため、商業銀行などの監視を強化するほか、国民の安易な借り入れを促進しないよう、無担保ローン、クレジットカードローン、自動車担保ローンなど各種ローンの審査を厳格化する措置を講じている。

以前からBOTは、タイにおける家計債務が高水準にあることを懸念している。2019年第1四半期末時点での家計債務残高は12兆9,700億バーツ(約45兆3,950億円、1バーツ=約3.5円)で、GDP比で78.7%と高水準に達している。過去最高だった2015年末時点でのGDP比81.2%と比較すると低下したものの、依然として高い水準にある。

タイの個人消費は、自動車などの耐久財消費が牽引しており、BOTの措置が長期化すれば、タイ経済の減速要因となる可能性がある。

(岡本泰)

(タイ)

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