スタートアップ「ワーデンマシナリー」、AIによる行動分析で人為的な労働事故を防ぐ

(ロシア)

モスクワ発

2019年10月28日

産業現場で事故防止の対策が講じられているが、労働者の疲労や怠慢などの人為的な過失による事故を防ぐことは容易ではない。ロシアのスタートアップ「ワーデンマシナリー」(以下、WM)は、人工知能(AI)ベースの映像分析技術により人の行動を監視し、労働現場での人為的事故を防ぐシステムを開発している。

同社は10月30日~11月1日に千葉県柏市で開催される国際的なスタートアップ・イベント「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)2019」に参加(注)する。参加を前に同社のミハイル・キリウヒン最高経営責任者(CEO)に話を聞いた(10月8日)。

写真 ミハイル・キリウヒンCEO(右)と、同社の営業・マーケティングを支援するソフトウエア大手SAP C.I.Sの旅行・運輸産業担当のセルゲイ・ゴライコ氏(ジェトロ撮影)

ミハイル・キリウヒンCEO(右)と、同社の営業・マーケティングを支援するソフトウエア大手SAP C.I.Sの旅行・運輸産業担当のセルゲイ・ゴライコ氏(ジェトロ撮影)

(問)ソリューションの特徴は。

(答)AIを用いた人の行動監視を含む映像分析システムを提供している。例えば、眠気や不注意、疲労、体調不良、何かしらの中毒など、労働者の状態をすぐに検出することができ、陸・海・空の各種輸送サービスや産業現場の事故防止に貢献している。そのほか、顧客の要望に応じたオーダーメードの映像分析システムを迅速に開発することが強みだ。

(問)営業やマーケティングはどのように行っているか。

(答)当社はR&Dに注力しており、営業やマーケティングはドイツの業務ソフトウエア大手SAPや電機メーカーなどのパートナーに任せている。SAPが開催する海外でのスタートアップ向けイベントに参加することもある。

(問)日本市場への展開や日本企業との協業への関心は。

(答)詳細は開示できないが、既に在ロシア日系企業の製造拠点向けにサービスを提供している。今後の事業拡大を見据え、アジアでR&D拠点の設立を検討しており、東京とシンガポールが候補地となっている。日本には巨大な市場があり、優秀な技術者も多いと思われるため魅力的な進出先だ。

(注)ロシアからはWMのほか、ユニム(デジタル画像を用いた病理診断検査)(以上、ジェトロ推薦)、モトリカ(医療・ロボティクスの研究開発)(ロシアのイノベーションセンター「スコルコボ」の推薦)が参加する。

(戎佑一郎)

(ロシア)

ビジネス短信 59e808e7d6583347