ボルソナーロ政権下での殺人件数は22.6%減少

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年10月08日

ブラジルの2019年1~7月の殺人件数は、前年同期比22.6%減となった。ブラジル大手放送局グローボグループによるポータルニュース(G1)とブラジル公安フォーラムが共同で行ったモニタリング調査によると、1~7月の殺人件数は2万4,379件で、7月単月では前年同月比24.1%減の3,122件に低下した。

2019年1月に就任したジャイール・ボルソナーロ大統領は、治安改善を公約に掲げている。ボルソナーロ政権下では、2019年2月に殺人件数が大幅に減り、その反動による3月の件数増加を除けば、一貫して減少傾向が続いている。殺人件数の減少は、前ミシェル・テーメル政権下の2018年から続いているが、2011年から2017年までブラジルの殺人件数は増加傾向にあっただけに、2018年からの減少傾向は歴史的な改善といえそうだ。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、2017年の国際比較ランキングでは、ブラジルの殺人件数は10万人当たり30.74人と世界12位だったが、2019年7月時点では1.49人(年換算で17.88人)と約半分強まで低下した。引き続き殺人件数の減少が続けば、ブラジルのランキングは大幅な改善が期待できそうだ。

州別にみると、2019年1~7月の殺人件数の減少は全州でみられ、麻薬犯罪組織が拠点を構えるブラジル東北部での減少が特に目立つ。同地域のセアラ州は前年同期比52.4%減と減少幅が最も大きかった。

セルジオ・モロ法相は自身のインスタグラムおよびツイッターで、「さらに減少させる必要がある」と強調した。殺人件数の減少は、州政府と連邦政府の努力によるものとし、麻薬押収件数の記録的な増加と、犯罪組織リーダーを最高セキュリティーレベルの連邦刑務所へ移送したことが効果を上げたとしている。州政府と連邦政府は、このほか、刑務所での監視活動の強化・厳格化、刑務所対応専属局の創設、殺人事件を専門に捜査する警察署の創設、治安部局と司法の連携強化、警察情報機関への投資拡大、社会予防プログラムの導入に取り組んでいる。

(大久保敦)

(ブラジル)

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