2020年の最低賃金上昇率、8.51%に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年10月25日

インドネシアのハニフ・ダキリ労働相は10月15日、2020年の州別最低賃金の上昇率を8.51%とする回状を公布した。これにより、国内34州のうち、最低賃金が適正生活水準(KHL)に達していない7州を除く全ての州の上昇率が一律に設定された。現地報道によると、ジャカルタ特別州の2020年の月額最低賃金は、現在から約33万5,000ルピア(約3,350円、1ルピア=約0.01円)上昇して、約427万6,000ルピアとなる見込みだ。

インドネシアの最低賃金上昇率は、2015年に制定された政令78号で、「前年の9月から当該年の9月期の物価上昇率」と「前年第3・4四半期(7~12月)と当該年の第1・2四半期(1~6月)のGDP成長率」の和と定められている。現地報道によると、労働省はこの政令に基づき、GDP成長率を5.12%、物価上昇率と3.39%と算出した上で、その合計を翌年の最低賃金上昇率とした。今後、各州知事は11月1日までに最低賃金額を決定する。現時点の報道から、主要な州における2020年の最低賃金の推計額をまとめると、表のとおりとなった。

表 主要州の2020年の月額最低賃金

西ジャワ州の月額最低賃金は約181万ルピアだが、日系企業を含む多くの工場が集積する西ジャワ州ブカシ、カラワンの最低賃金は、この州別最低賃金の2倍超というのが実態だ。国内の産業団体からは、毎年の賃金上昇率が企業の生産性上昇を考慮していないとして、政令2015年第78号を改正すべきという声が上がっている。

(山城武伸)

(インドネシア)

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