エンタメ・観光、イノベーション分野の協業可能性を紹介、「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム」

(サウジアラビア)

中東アフリカ課

2019年10月25日

ジェトロは10月23日、「日・サウジ・ビジョン2030 ビジネスフォーラム」をパレスホテル東京で開催した。年内2回目で、日本・サウジアラビア両国の要人が出席し、日本側から200人以上の参加者が集まった。

写真 日本側から多数が参加(ジェトロ撮影)

日本側から多数が参加(ジェトロ撮影)

今回は両国間の戦略的パートナーシップ「日・サウジ・ビジョン2030」の旗印の下、「エンターテインメント・観光」と「イノベーション・生産性向上」という新分野でのビジネス協力の可能性を示す機会となった。また、新たに締結された13件の協力覚書(MOU)が披露された。

ビジネス・セッション1のテーマは「エンタメ・観光」。エンタメでは、サウジアラビア総合エンターテインメント庁(GEA)が自国の芸術・娯楽市場の拡大、GDPや雇用への貢献という目標を語るとともに、エイベックス・エンタテインメントが2019年のサウジアラビア建国記念日(9月23日)にジッダで開催した伝統花火に音楽やショーパフォーマンスなどを組み合わせた未来型一大エンタメ・イベント「スターアイランド(STAR ISLAND)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」のもようを紹介した。

写真 講演するエイベックス・エンタテインメントの坂本茂義ゼネラルマネジャー(ジェトロ撮影)

講演するエイベックス・エンタテインメントの坂本茂義ゼネラルマネジャー(ジェトロ撮影)

観光面では、サウジアラビア総合投資院(SAGIA)が直近の観光ビザ解禁や国内の名所など観光業のポテンシャルを説明するとともに、リヤド北西部に広大な遺跡群や自然を持つアルウラ王立委員会も日本の観光客やホテル、旅行代理店などの参入を呼び掛けた。

ビジネス・セッション2では、「イノベーション・生産性向上」をテーマに、2017年に国王勅令で設立された国家デジタル・トランスフォーメーション・ユニットがeヘルスやデジタル教育、eコマース、スマートシティーなどの分野で技術を持つ企業と積極的に協業する方針と述べた。

また、サウジアラビア工業開発基金(SIDF)による企業のデジタル化への融資スキームの紹介や、デジタル通信インフラを持つサウジアラビア・テレコム・カンパニー(STC)もビッグデータ、モノのインターネット(IoT)、ドローン、ロボティクス、自動運転などの分野での協業に期待を示した。日本電気(NEC)は同社の第5世代移動通信システム(5G)事業などを紹介し、忍耐心を持ってビジネスに取り組むことが必要と説いた。

写真 ビジネス・セッション2「イノベーション・生産性」のパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

ビジネス・セッション2「イノベーション・生産性」のパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

セレモニー・セッションでは、菅原一秀経済産業相(当時)やマジッド・アル=カサビ商業投資相など要人が参加し、両国の緊密なパートナーシップの意義や成果について語った。また、企業だけでなく大学も含めた多様な両国関係者の間で締結された新たな13件のMOUが紹介されるなど、盛り上がりをみせた。

写真 両国要人も出席してのMOU交換式(ジェトロ撮影)

両国要人も出席してのMOU交換式(ジェトロ撮影)

(米倉大輔)

(サウジアラビア)

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