ドローンファンド、農業用ドローン・スタートアップ企業に出資

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年10月17日

ドローン特化型ベンチャーキャピタルであるドローンファンド(Drone Fund外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は10月9日、ブラジルで農業用ドローンを手掛けるスタートアップ企業アルパック(ARPAC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)への出資を実行したことを明らかにした。出資額は非公開。ドローンファンドの出資により、日系ベンチャーキャピタル(VC)によるブラジルスタートアップへの投資は、ソフトバンクグループ、ブラジル・ベンチャー・キャピタルを含めて3社となった。ドローンファンドとしては、初の中南米スタートアップへの投資となる。

アルパックは、2014年にブラジルで設立されたスタートアップ企業だ。業務用ドローンを使用した農業サービスを展開しており、2018年からドローンによる農薬・益虫散布のソリューションを提供している。同社は、過去のドローン墜落を分析し、墜落しにくいドローンサービスを提供できるのが強みだ。また、同社による農薬・益虫散布は、手作業での散布に比べて、同等コストで約80倍速く作業できると試算されている。特にサトウキビ畑のような背丈の高い密集した畑では、虫の食害のリスクも高く、労働者は過酷な労働を強いられるため、ドローンはブラジルで加速する新たなアグリビジネスとして注目されている。

ブラジルは、大豆、サトウキビ、コーヒーなどの生産で世界的な規模を誇るため、アグリテック分野でのスタートアップ企業によるソリューションが注目されている。

ブラジル日本商工会議所に設置され、ジェトロ・サンパウロ事務所が代表幹事の「イノベーション研究会」で2019年6月にアンケートを行ったところ、スタートアップ企業に関心を有する進出日系企業関係者19人のうち、アグリテックに関心を示した企業が全体の22%と最も高かった。

ドローンファンドによると、日本では、かねて農業分野における商用ドローンの利用が期待されており、2024年には商用ドローンの国内サービス市場の20%を占めるとの予測もある。同社は、農業大国ブラジルへのドローン・スタートアップへの出資を契機として、農業分野におけるドローン利用を活性化させていくとともに、世界規模でのドローン前提社会の実現に向け、今後も取り組みを進めていく方針を明らかにしている。

(大久保敦)

(ブラジル)

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