2019年世界競争力ランキング、フィリピンは64位、ASEANでは5位

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月23日

世界経済フォーラム(WEF)は10月8日、世界141カ国・地域の国際競争力をランキングした「2019年世界競争力レポート(Global Competitiveness Report 2019)」を発表し、フィリピンは64位となり前年の56位から後退した(表参照)。ASEAN(注)の中では、前年は4位だったが、ブルネイに抜かれた結果、5位に後退した。

フィリピンが最も低く評価された項目は全体で102位とされた「健康」で、2018年に67.6歳だった平均寿命が2019年は65.6歳に低下したことが響いた。

次に低く評価された項目は96位とされた「インフラ」で、インフラの中でも「道路の接続性」(125位)、「安全な飲料水へのアクセス」(105位)、「航空サービスの効率性」(96位)、「鉄道の混雑」(91位)といった点が特に低く評価された。アジア開発銀行が9月26日に発表した資料によると、アジア諸国278都市の中で、マニラ首都圏が最も交通渋滞がひどい都市として選定された(2019年10月3日記事参照)。

3番目に低く評価された項目は88位とされた「ICT(情報通信技術)」で、特にブロードバンド・インターネットの整備が98位と低く評価された。2017年時点の世界の平均的なインターネットスピードは30.85メガビーピーエス(Mbps)だが、フィリピンは13.41Mbpsと世界平均の半分を下回っている。一方で、インターネット利用料金が世界で最も高い国の1つとされている。政府は7月、それまでPLDTとグローブテレコムの2社による寡占が続いていた通信市場に、第3の通信事業者として中国電信(チャイナ・テレコム)が出資するディト・テレコミュニティーを選定し、通信費用や通信環境が改善することが期待されている(2019年7月17日記事参照)。

高く評価された項目としては「市場規模」(31位)、「労働力」(39位)、「金融システム」(43位)が挙げられた。市場規模については、全体で28番目に高いGDPが評価された。半面、海外からのモノとサービスの輸入が72位と低く評価された。

フィリピンの主要経済団体マカティビジネスクラブは、フィリピンの総合評価が64位に後退したことを受けて、「国家経済開発庁(NEDA)と貿易産業省(DTI)は国際競争力を短期間で改善するための政策をとり、来年のランキングを向上させるべきだ」と主張した。

表 世界141カ国・地域の国際競争力ランキング

(注)ASEAN10カ国中、ミャンマーはランキングの対象外となっている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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