インドネシア経済見通しが鈍化、米中貿易戦争などで

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年10月18日

世界銀行、IMFはそれぞれ、10月9日、15日に発表した経済見通しにおいて、2019年のインドネシアの経済成長見通しを引き下げ、5.0%とした(表参照)。米中貿易戦争で経済の不透明性が高まっており、世界的な需要の減退がみられることなどが影響した。インドネシア政府は5.3%の成長を目標としていたが、伸び悩みが顕著になった格好だ。

IMFは「World Economic Outlook外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、2019年の世界経済の見通しについて3.2%から3.0%とし、インドネシアについても0.2ポイント引き下げて5.0%とした。

一方、世界銀行は「East Asia and Pacific Economic Update外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」において、シンガポールとブルネイを除くASEAN諸国の2019年の経済成長率について、4月時点の予測値を0.4ポイント下回る、4.8%とした。インドネシア経済の成長予測については5.0%と、従来予測から0.1ポイント引き下げた。米中貿易摩擦によって中国からの生産移転が進むものの、東南アジア・大洋州諸国は相対的に規模が小さく、インフラも十分とはいえないことから、短中期的に中国の代替国となることは難しいと指摘した。

インドネシアのGDP成長率は、2015年に4.8%となった後、徐々に拡大し、2018年には5.2%に達していた。しかし、2019年に入って、第2四半期までのGDP成長率は5.1%と伸び悩む傾向にある。中央銀行も、7月から3カ月連続で政策金利の引き下げを行うなど、景気刺激策を取っていた。

表 各機関のインドネシア経済成長見通しと実質GDP成長率

(山城武伸)

(インドネシア)

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