米国の対EU制裁措置発動、イタリア産品も対象に

(イタリア、米国)

ミラノ発

2019年10月08日

米国通商代表部(USTR)が10月2日に発表した10月18日から発動予定の制裁関税について(2019年10月3日記事参照)、イタリア国内でも波紋が広がっている。イタリアの主要農産品であるチーズやハムなどの米国向け輸出に影響が及ぶことが懸念されている。

イタリア産品の競争力低下に懸念

イタリアの2018年の米国への輸出は424億4,900万ユーロで、全輸出のうち9.2%を占め、世界で3位の重要な貿易相手国だ。今回の追加関税措置の対象は農産品の一部にとどまるものの、主要な農産品であるチーズ、ハムなどに25%の追加関税が課される。農林水産品の米国への輸出額は、2017年が約8,800万ユーロ(17位)、2018年は約8,700万ユーロ(15位)(図参照)。輸出額は2010年の4,700万ユーロから、2015年の9,900万ユーロへと5年間で倍増している。近年はややペースは落ちつつあるものの、イタリアにとって期待の市場となっており、同国産品の競争力の低下が懸念される。

図 米国向け農林水産品輸出額の推移

経済界も懸念を表明

今回の米国による制裁措置の発表について、イタリア経団連・コンフィンドゥストリアのビンツェンツォ・ボッチャ会長は、米国とEU間の貿易摩擦がエスカレートするリスクに警鐘を鳴らし、グローバル市場に対するさらなる影響への懸念を表明した(「イルソーレ24」紙10月3日)。

また、火種となったエアバスへの補助金をめぐる問題については、イタリアはエアバス製造のコンソーシアムに参加しておらず、関与が薄いとの声も出ている。

(山崎杏奈)

(イタリア、米国)

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