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WTOが米国の対EU報復関税を正式承認、航空機補助金に関する紛争で

(米国、EU)

ニューヨーク発

2019年10月16日

WTOの紛争解決機関(DSB)は10月14日、米国による対EU報復関税を正式に承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは、EUによる航空機大手エアバスへの補助金に関して、米国がEUを提訴していた案件で、WTOは10月2日に、米国に認められる報復措置の範囲を年間74億9,662万ドルとする仲裁結果を発表していた(2019年10月3日記事参照)。WTOが認めた報復措置の規模としては史上最大となる。

米国通商代表部(USTR)は、WTOが仲裁結果を発表した直後の10月2日に、1974年通商法301条(注1)に基づき、WTOが認めた範囲内で、EU原産品の輸入品目に対して10月18日から制裁関税を発動するとし、10月9日に官報で正式に公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。大型民間航空機に対しては10%、それ以外の品目には25%の追加関税が課される。

米国のデニス・シアWTO大使は10月14日のDSBでの会議で、「米国としてはEUとの間で交渉を経た上で、WTO違反の補助金を撤廃する結果に至ることを望んでいる」としつつ、「しかしそれは、EUがエアバスへの現行の補助金を完全に終了させるとともに、将来にわたっても他の名称やメカニズムを用いて補助金を復活させないことを約束しなければ、あり得ない」との声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

EUのセシリア・マルムストロム委員(通商担当)は10月11日、ロバート・ライトハイザーUSTR代表宛ての書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、米国による米航空機大手ボーイングへの補助金措置も3月28日のWTO上級委員会の裁定で違反とされている点に触れつつ、EUに認められる対米報復措置の範囲がWTOにより確定した段階で、「EUとしても報復措置に出ざるを得ない」としている(注2)。その上で、「(米EU)双方にとって最良の共通する利益は、交渉によって可能な限り早期に、(ボーイングとエアバスの)2つの案件に関する公正な解決策を見いだすこと」だとし、米国に対して交渉の開始を呼び掛けている。エアバスも10月2日時点で、双方の交渉による事態の解決を呼び掛けていたが、10月15日時点で米国からの反応は確認できていない。

(注1)通商法301条は、貿易協定違反や米国政府が不公正と判断した他国の措置について、貿易協定上の特恵措置の停止や輸入制限措置などの貿易制裁を行う権限を、USTRに与えている。

(注2)EUは4月17日に、米国によるボーイングへのWTO協定違反の補助金に対する報復関税の対象候補となる品目の暫定リストを公表している(2019年4月18日記事参照)。

(磯部真一)

(米国、EU)

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