2020年度予算審議開始、歳出上限は3兆2,000億バーツ

(タイ)

バンコク発

2019年10月29日

タイの下院は10月19日、2020年度(2019年10月~2020年9月)の国家予算案を第一読会で採決した。賛成251票、反対0票、無投票1票、棄権234票で、歳出上限3兆2,000億バーツ(約11兆5,200億円、1バーツ=約3.6円)の予算案が承認された。2020年度予算の最初の審議に当たり、10月17日から19日まで行われた。予算審議開始は例年より遅れており、予算の成立は2020年1月27日の見通しだ。

第一読会での予算案承認を受け、2020年1月の第二・第三(最終)読会に向けた特別委員会による内容精査などが行われる。特別委員会は64人で構成され、内閣が15人、各政党が計49人を任命する。野党の中核のタイ貢献党は最多の13人、新未来党は8人などとなっている。

タイ議会における予算審議プロセス

下院での予算法案審議は合計2回行われる。プロセスは内閣が予算案を下院に提出した日から105日以内で審議される。1回目の審議(第一読会)で予算案の大枠について、2回目の審議(第二読会)で詳細について議論する(添付資料参照)。

仮に議会が予算案を承認しなかった場合、政府には内閣総辞職または下院解散・総選挙の2つの選択肢がある(憲法に明確な規定はない)。予算案など重要な法案について議会の承認が得られない場合、政権運営が困難となるため、内閣を辞職することがタイの伝統的な政治手法だ。

また、予算案は下院と上院の両院で承認を得る必要がある。現行憲法によると、予算案は下院の承認を得た後、上院に提出され、上院は20日以内に予算案を審議。この段階で草案を変更することはできない。上院が予算案を承認し、重要な憲法違反がない場合、国王に予算案が提出され、国王の承認を得て成立する。

表 今後の予算審議スケジュール

(ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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