大連市で「内販研究会」、冷凍麺市場の開拓事例を紹介

(中国)

大連発

2019年09月25日

ジェトロは8月26日、「2019年度第1回内販研究会」を大連市内で開催した。同研究会は、進出日系企業の中国国内販売(以下、内販)の拡大を支援する目的で、2018年9月に立ち上げた。今回は青島市の日系食品メーカーなど、大連市のみならず他都市からも内販拡大に取り組む日系企業が参加した。

研究会では、油揚げやうどん、ラーメンなどの冷凍麺を製造する大連天賜食品の原裕之・総経理が自社の内販における取り組みについて講演した。同社は2002年に大連に設立後、主に親会社である松田食品工業(本社:大阪市、味付け油揚げなど製造)向けに油揚げを製造・供給してきたが、近年の為替の変動や人件費の高騰などを背景に、油揚げの第三国向け輸出および冷凍麺の内販に向けた取り組みを開始した。

原総経理によると、中国の冷凍麺市場は外食チェーンの台頭とともに拡大傾向にあるという。地域別の特徴としては、上海市では価格重視で比較的安価な商品がよく売れる一方で、大連市をはじめとする東北地域では比較的価格が高い商品がよく売れる傾向にあり、背景には(1)上海市では日本食の食べ放題など価格重視のサービスが既に普及しており、安価な商品も多いこと、(2)東北地域では日本食の平均単価が比較的高く、質の高い商品を求める消費者が多いことがあるという。

内販における課題を踏まえた取り組みもある。大連市と上海市以外の地域では冷凍物流が未成熟なことから、同社は冷凍麺の出荷先を大連市と上海市に限定し、買い手側から要望があった場合にのみ、問屋が同社工場で商品を引き取るかたちで取引を行っているという。

中国における内販について、原総経理は「価格などの条件面や債権回収の交渉に時間を要することがあるため、売り手が優位に立てるような強い商品を作ることが重要になる。中国市場のさらなる開拓に向けて、大豆を加工した新商品の開発を進めている」と述べた。

写真 内販研究会の様子(ジェトロ撮影)

内販研究会の様子(ジェトロ撮影)

(匂坂拓孝)

(中国)

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