情報通信技術省、太平洋横断ケーブル計画中断の可能性を懸念

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月04日

米国のグーグル社やフェイスブック社が支援し、米国と香港をつなぐ太平洋横断海底ケーブル(PLCN)敷設計画について、米国当局が国家安全保障上の理由で反対を表明したとの米国での報道を受け、フィリピン情報通信技術省(DICT)のエリセオ・リオ・ジュニア次官は8月29日、計画が却下された場合、フィリピン政府が進める国内の超高速通信ケーブル敷設事業「ルソン・バイパス・インフラストラクチャー(LBI)事業」に多大な影響が出る可能性があると懸念を表明した。

LBI事業はフェイスブック社のフィリピン法人の支援を受け、DICTと基地転換開発公社(BCDA)が主管官庁として進める。フェイスブック社がPLCNをフィリピン・ルソン島につなぎ、DICTとBCDAがルソン島の東西250キロにわたって超高速通信ケーブルを敷設する。

LBI事業については、国内第3の通信事業者として国家通信委員会(NTC)から認定を受けたディト・テレコミュニティー社(2019年7月17日記事参照)に40%出資する中国電信(チャイナテレコム)が2018年11月、LBI事業を活用した海底ケーブルの敷設の可能性を検討すると発表している。同社のフィリピンでの通信事業参入については現在、フィリピン国内で国家安全やプライバシー保護の観点から論争が生じている。

BCDAの発表資料によると、2017年時点の世界の平均的なインターネットスピードは30.85メガビーピーエス(Mbps)だが、フィリピンは13.41Mbpsと世界平均の半分を下回っている。一方で、インターネット利用料金が世界で最も高い国の1つとされている。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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