東部ドイツ2州の議会選挙、極右が大躍進

(ドイツ)

ベルリン発

2019年09月03日

ドイツ東部のブランデンブルク州とザクセン州で9月1日、州議会選挙が行われ、それぞれ第1党の社会民主党(SPD)、キリスト教民主同盟(CDU)は第1党を維持したものの大敗し、極右のドイツのための選択肢(AfD)が大躍進する結果となった。

ブランデンブルク州では、第1党のSPDは得票率26.2%(前回2014年選挙の得票率比:5.7ポイント減)と、ドイツ統一後30年で最低の得票率となった。SPDと連立を組む左派党(Linke)が10.7%(7.9ポイント減)、CDUが15.6%(7.4ポイント減)と大きく得票率を減らした。他方で、AfDが23.5%(11.3ポイント増)と躍進、緑の党(Gruene)10.8%(4.6ポイント増)、自由な有権者(Freie Waehler)5.0%(2.3ポイント増)も得票率を伸ばした。

州政府の連立政権樹立に当たって、SPDはAfDとの連立は視野に入れておらず、3党連立の形成を余儀なくされる。SPD・CDU・緑の党、SPD・緑の党・左派党、SPD・CDU・自由な有権者のいずれの組み合わせになるか注目される。ブランデンブルグ州のディートマール・ウォイドケ首相(SPD)は安定的な連合形成は大きな挑戦になると述べている。

ザクセン州でも、既存政党が大敗し、AfDが大きく得票率を伸ばした。第1党のCDUの得票率は32.1%(前回2014年選挙の得票率比:7.3ポイント減)、連立を組むSPDは7.7%(4.7ポイント減)、左派党が10.4%(8.5ポイント減)と得票率を減らした。AfDは前回選挙の2倍以上の27.5%(17.8ポイント増)を獲得し、緑の党は8.6%(2.9ポイント増)に伸ばした。大きく票を減らしたSPDにとっては大きな衝撃となった。

これまでのCDU(政党カラー:黒)とSPD(赤)の連立による過半数の議席確保が不可能となり、CDUは緑の党(緑)を加えての3党連立(黒・赤・緑のいわゆる「ケニア連立」)を形成する必要がある。ザクセン州のミヒャエル・クレッチマー首相(CDU)は、選挙前にAfDとの連立には反対を表明しており、アンネグレート・クランプ=カレンバウアーCDU党首も、選挙翌日にクレッチマー州首相の立場を支持した。

東部ドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州首相でもあるマヌエラ・シュベージッヒSPD副党首は、東部ドイツの課題やニーズに対する連邦政府の関心の低さがAfD躍進の選挙結果として表れており、連邦政府は東部ドイツ各州首相の声により耳を傾ける必要があると発言している。

(ヴェンケ・リンダート、中村容子)

(ドイツ)

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