エストニアの配車サービス会社ボルト、カザフスタンに進出

(カザフスタン)

タシケント発

2019年09月26日

エストニア生まれの携帯アプリ・タクシー配車サービス会社「ボルト」が9月4日、カザフスタンの首都ヌルスルタンで営業を開始した。

ボルトは2013年設立、欧州とアフリカの30カ国以上で利用され、世界中で50万人のドライバーが登録、ユーザー数は2,500万人に上る。カザフスタンでは、既にロシア系のヤンデックス・タクシーなど複数の競合会社があるが、ボルトは欧州での競合でシェアを広げてきた独自のノウハウを用いれば商機があるとみている。アピールポイントは欧州基準のサービスだ。

ヌルスルタン市、アルマトイ市を中心に、携帯アプリによる配車プラットフォーム利用者が年々増えているが、車両が古い、車内が清潔でない、運転が乱暴、領収書が発行されないなど、サービス面で改善の余地がある。ボルトは、登録できる車は安全性と快適性をクリアした2000年製以降のもののみとし、登録時には車の状態を詳細に報告する義務を設けて車両の質を確保。ドライバーのモチベーションを高めるため、同社の手数料を一般的な相場より低く設定しているほか、営業成績の良いドライバーへの報奨金制度、ボルトのロゴの無料提供などの特典を用意している。利用者向けには、良質なサービスを提供する以外に、配車アプリダウンロード後、初回乗車料金を半額にするなど、新規ユーザー獲得に力を入れている。

9月4日時点で、ヌルスルタン市だけで既に1万人がボルトの利用登録をした。今後はアルマトイや他の都市でもサービスを順次開始する予定。ボルトは将来的には、配車サービス以外に電動スクーターのレンタルやフードデリバリー事業にも進出する計画だ。

ボルトの進出で、カザフスタンのタクシー利用者は「価格」と「利便性」に加え、「サービスの質」でもタクシーアプリの選択肢が増えることになる。

(増島繁延)

(カザフスタン)

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