政府が生産拠点の移転促進を目指す「タイランド・プラス」承認

(タイ)

バンコク発

2019年09月25日

タイ政府は9月10日の経済閣僚会議で、米中貿易摩擦を背景にタイへの生産拠点の移転を促進する新政策パッケージ「タイランド・プラス」を正式承認した。パッケージでは、タイ投資委員会(BOI)の投資恩典の拡充、先端技術や革新的な生産自動化投資に対する特別控除、投資円滑化のための投資運営委員会の設置などが柱となる。具体的には次のとおり。

  1. 2020年末までにBOIに申請、2021年末までの実施を条件に、10億バーツ(約35億円、1バーツ=約3.5円)以上のBOI投資案件に対し、5年間にわたる法人税の50%減税を追加。
  2. 高等教育・科学・研究イノベーション省に認められた先端技術の人材育成関連の投資または経費を2019年から2020年まで250%特別控除。また、科学技術分野の高熟練人材の採用費用も150%特別控除。既に法人税免除の恩典を受けている企業には、先端技術の人材育成経費を200%まで特別控除できる。
  3. 自動化システムの導入費用について、2019年から2020年まで200%特別控除。タイ・ドイツ職業訓練学校における「Center of Robotic Excellence」による自由化システムの認証が必要となり得る。
  4. 外国人事業法の一部改正、ビザ・ワークパミットの発給条件の緩和を計画。
  5. 投資障壁の問題対応に当たるため、プラユット首相を委員長とする投資運営委員会を設置。BOI、歳入局、工場局など各省庁間の情報共有と連携の強化を図る。
  6. タイ・EUの自由貿易協定(FTA)交渉を見直し、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)の加盟を目指す。貿易協定の影響を受けた企業に対する支援予算の確保。
  7. 工業団地内に中国、韓国、台湾などの特定国・地域の企業に適した地区の整備。今後、ターゲット国・地域の中国、日本、台湾、韓国などを対象に説明会の開催も検討。

(高谷浩一、トンワニッチャノッパクン・ニチャーパッタラ)

(タイ)

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