初の協力覚書を締結、ゲアン省-JICA-ジェトロで連携強化

(ベトナム、日本)

ハノイ発

2019年09月17日

ジェトロ・ハノイ事務所と国際協力機構(JICA)ベトナム事務所は9月5日、ゲアン省ビン市において、ゲアン省人民委員会と連携協力覚書(MOC)を締結した。ジェトロとJICAが日本企業の展開支援の強化を目的に覚書を締結するのは、海外では初めて。日本との関係強化を目指すゲアン省からの要望に応えるかたちで実現した。

今後はこの覚書に基づき、(1)農業・地方開発、(2)日本企業の投資促進、(3)グローバル人材育成の3分野を中心に協力を進める。JICAはODA案件の成果活用および民間企業提案型調査などの積極展開を、ジェトロは海外投資情報や企業進出支援策などを通じた協力を行うことで、相乗効果をもたらす。

ゲアン省はベトナム北中部に位置し、全63省の中で最大の面積と4番目に多い人口を有する、南北および東西交通の要所で、また、海、山、川、平野と多様な自然にも恵まれ「ミニベトナム」ともいわれている。「ベトナム独立の父」とされるファン・ボイ・チャウやホーチミン主席をはじめ傑出した人物を多く輩出した地としても有名だ。近年は工業団地建設など投資環境整備を進め、外国投資の誘致を積極的に行っているほか、詩的な風景と歴史文化遺産を生かす観光産業にも注力している。

人材が最大の資源

覚書署名に併せ開催したセミナーでは、同省および日本政府関係者に加え、ベトナム駐在の地銀代表者ら約40人が参加した。ゲアン省のタイ・タイン・クイ人民委員長は「日本は最重要パートナーで、これまでの日本からの援助と投資、そして現在、同省出身者1万1,000人が日本で就業しているが、それらが社会経済発展に貢献している」と話し、「この締結は日本との協力深化と成功のマイルストーンになる」と期待した。

ゲアン省顧問でJICA特別アドバイザーのグエン・シー・ズン氏は「日本にはベトナム人が35万人いる、日本とベトナムは勤勉さなど共通点も多く、人材が最大の資源であり、基盤である」と強調した。

同省の進出日本企業を代表して登壇した、矢橋ホールディングス代表取締役社長の矢橋龍宣氏は、インフラ整備・物流改善とともに、帰国した技能実習生のデータベース化やマッチングなど人材を生かす取り組みへの要望を語った。

写真 3者による署名式の様子(JICA提供)

3者による署名式の様子(JICA提供)

(名倉和子)

(ベトナム、日本)

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