ロシアEC大手ワイルドベリーズ、カザフスタンに流通拠点設立へ

(カザフスタン、ロシア)

タシケント発

2019年09月09日

カザフスタンの貿易統合省(注1)のバヒト・スルタノフ大臣とロシアの消費者向け電子商取引(EC)サイト最大手のワイルドベリーズ最高経営責任者のタチアナ・バカルチュク氏は8月26日、モスクワでカザフスタンでの配送センター建設に関する覚書に署名した。

配送センターは、カザフスタンの首都ヌルスルタンとアルマトイに各5万平方メートル、総工費は合計50億ルーブル(約80億円、1ルーブル=約1.6円)以上となる。加えて2019年末までに、物流管理と従業員、中小企業などのサプライヤー向けセミナー、教育イベントを行う「B2Bワイルドベリーズ・eコマース技能センター」をアスタナ国際金融センター(AIFC)内に開設する。カザフスタン国内のサプライヤーとの協力を拡大し、商品を年中無休24時間体制で流通させる。

ワイルドベリーズは、CIS最大のオンラインストア。2004年に設立、海外からの衣類、靴、アクセサリーをネット販売し、急成長した。2万2,000のブランドと、1万4,000(うち8,000は中小企業)のサプライヤーがオンラインプラットフォームに参加。1日に平均100万個以上の商品が出荷され、配送センターでは2万5,000人の従業員を抱える。2018年の売上高は1,187億ルーブルに達する(注2)。同社はロシア以外に、ベラルーシ、カザフスタン、ギルギス、アルメニアに販売網を広げ、商品受渡所(注3)は合計で4,800カ所、うちカザフスタンには129カ所となっている。

カザフスタン政府は、本事業が地元中小企業・生産者の物流コストを大幅に削減し、同社の国際的な販売網を通じた売り上げの増加と、同国での新しい雇用創出に貢献することを期待している。

(注1)貿易統合省:2019年6月17日に設立。これまでの国民経済省の機能(国内および外国貿易政策の形成と実施、国際経済統合および消費者保護)と、工業・インフラ発展省が所掌していた標準化関連の機能、外務省の輸出促進活動の調整機能を併せ持つ。

(注2)在ロシア・カザフスタン大使館ウェブサイト(8月26日付)。

(注3)商品の発注から受け取り、試着、クレーム、返品などにも対応している。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア)

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