首都圏での経済特区新設停止命令に業界団体が反発

(フィリピン)

マニラ発

2019年09月10日

フィリピンITビジネス・プロセス協会(IBPAP)のレイ・ウンタル会長は9月4日、マニラ市長およびケソン市長と面会し、ドゥテルテ大統領が6月に発出したマニラ首都圏での経済特区新設停止を命じる行政命令の対象から、マニラ首都圏の8つの市の除外を求める大統領府への要望書への支持を求めた。

マニラ首都圏外の地方都市での経済特区開発による地方経済の発展を促すため、ドゥテルテ大統領は6月17日、マニラ首都圏での経済特区新設停止を命じる行政命令を交付し、同命令は即日発効した。現在、国内に278カ所存在するITパークのうち、6割の167カ所が、通信環境が比較的整っているマニラ首都圏に立地している。

IBPAPおよび多くのITパークを所管するフィリピン経済特区庁(PEZA)は、同命令の対象からITパークが存在しないか1つしかないマニラ市、ラスピニャス市、バレンズエラ市、サンフアン市、マリキナ市、マラボン市、パテロス市、カローカン市の8市を、除外することを求める要望書を大統領府に提出している。

レイ・ウンタル会長は地元メディアに対して、PEZAの承認は下りたが、6月の行政命令発出までに大統領府に提出できなかった計131件、1,600億ペソ(約3,360億円、1ペソ=約2.1円)相当の新規投資計画が存在し、これらは現在もまだ大統領府からの承認が下りていない状況だと説明した。同会長はまた、IT-BPO業界は毎年6万人の新規雇用を生み出し、2018年末時点で123万人を雇用しているとした上で、「仮に8市の除外が承認されなかった場合、この国の雇用と歳入にどれほどの悪影響があるか調査を行っている」と説明した。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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