第2四半期のGDP成長率、前期比0.3%とやや鈍化

(スイス)

ジュネーブ発

2019年09月27日

スイス経済省経済事務局(SECO)は9月5日、2019年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを前期比0.3%と発表した(表参照)。サービス部門を中心に外需および内需の減速が響き、第1四半期(1~3月)の0.4%(注)からやや鈍化した。

表 スイスの実質GDP成長率(前期比)

需要項目別でみると、ヘルスケア、住宅支出、エネルギーへの支出に支えられ、個人消費は0.3%となった。政府消費支出は0.1%とわずかに増加した。設備ソフトウエア投資と建設投資は、それぞれマイナス1.0%、同0.1%となった。特に機械分野での投資が大きく減少し、SECOは先行きの不透明さにより企業の投資活動が弱まっていると分析した。財貨は輸出入ともに減少し、それぞれマイナス0.8%、同1.7%となった。

産業別にみると、サービス業は全体では内需とサービス輸出の減少(マイナス0.2%)により減速したが、宿泊およびフードサービスは2.6%、金融は0.7%となった。製造業は1.3%だった。化学・医薬品で売上高と輸出が増加したが、他の分野、特に機械・金属の売上高は減少した。

SECOは9月17日に経済予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、2019年通年の実質GDP成長率を0.8%と、6月発表時の1.2%から下方修正し、2020年通年の成長率を1.7%とした。重要な貿易パートナーのドイツで2019年下半期の経済不振の兆しが強まり、特に金属および機械分野での輸出に影響を与えるとの予測に基づく。一方、雇用は主にサービス部門で堅調に成長する見込みで、インフレ率の低下と相まって世帯購買力を押し上げるとみられる。

(注)スイスには、国際オリンピック委員会(IOC)や国際サッカー連盟(FIFA)、欧州サッカー連盟(UEFA)など主要国際イベントの本部が置かれているため、オリンピック、FIFAワールドカップ、サッカーUEFAチャンピオンズリーグの開催年には放映権収入がスイスのGDPを押し上げ、翌年のGDPにはマイナスに作用する。このため、SECOはスポーツイベントによる影響を除いた数値を別途算出しており、調整後の第1四半期のGDP成長率は0.4%だった。

(城倉ふみ)

(スイス)

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