中央ビジネス地区のオフィス賃料、過去10年で最高水準に

(シンガポール)

シンガポール発

2019年08月02日

米国系不動産大手コリアーズ・インターナショナルのレポート(7月24日発表)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、シンガポール都心部の中央ビジネス地区(CBD)にあるグレードAオフィスの賃料は、2019年第2四半期(4~6月)に前年同期比12.6%増の1平方フィート(約0.093平方メートル)当たり9.93シンガポールドル(約784.5円、Sドル、1Sドル=約79円)となった。CBDのオフィス賃料は8期連続で上昇しており、過去10年で最高水準となった。

発表によると、特に上昇率の高かった地区は、ビーチロード・ブギス地区で前年同期比18%増の9.18Sドル、次いで、シティーホール地区が13.6%増の10.14Sドルとなった。同社は賃料上昇の主な要因として、テック系やコワーキングスペースによるオフィス需要が引き続き堅調だったことによるものとしている。これにより、CBDのグレードAのオフィス空室率は、前期の3.9%から2.9%まで縮小。主な賃貸動向としては、シェアオフィス大手のウィワーク(WeWork)、米国系印刷機メーカーのゼブラテクノロジーズなどの新規賃貸が挙げられる。

コリアーズは2019年通年のオフィス賃料の見通しについて、新規供給が2019~2021年のオフィス年間在庫の2%と引き続きタイトなことから、前年比8%増を見込んでいる。同社は「2019年上半期には賃料が5.4%上昇したが、テナント側がこれ以上の上昇には抵抗を示す」と指摘した。今後の動向として、2020年には5%程度に落ち着き、その後は経済成長の減速や、物件の供給増により下落する可能性があるとした。(「ストレーツ・タイムズ」紙7月24日)

(南原将志)

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