スイス企業・製品のブランド価値ランキング、ネスレが首位

(スイス)

ジュネーブ発

2019年08月09日

さまざまなブランド価値を独自のメソッドで測定するコンサルティング会社ブランド・ファイナンスが7月25日、「最も価値があり強いスイスブランド」に関する報告書2019年版を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。企業名・製品名を対象に、そのブランド価値を金額換算して評価し、上位50ブランドを掲載している。

同ブランドランキングでは2019年も、ネスレが前年から連続して1位を獲得した。そのブランド価値は約191億スイス・フラン(約2兆1,010億円、1フラン=約110円)と推定されている。ネスレは、国際的に食品・飲料の製造販売網を広げており、消費者の認知を得られやすいという利点がある。また、2018年にはスターバックスの店舗以外で販売される同ブランド製品の世界販売権を獲得するなど、新たな顧客開拓にも成功していると評価されている。

ネスレが製造する「ネスカフェ」(ブランド名)も9位になった。スイスの産業の特徴を示すように、金融大手のUBSが2位、チューリッヒ保険が4位に、また多数の時計ブランドがランク入りしている。

「スイスメード」の表示によるブランド戦略で知られる時計産業では、ロレックスが5位となった。ロレックスは、各種スポーツ競技の公式タイムキーパーをつとめるほか、国民的人気テニスプレーヤーであるロジャー・フェデラー氏らの著名人をブランドアンバサダーに起用し、ブランドイメージの向上に努めている。また、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)では、妹島和世、西沢立衛氏設計のロレックス・ラーニング・センターが、同社の寄付により2010年に落成している。これらの活動が、ブランド価値評価額を前年比26%(約16億フラン)増加させたとみられる。

「ラジュフィ」紙(7月30日)のオンライン記事は、同ランキングに登場する企業をスイスマーケット指数(SMIおよびSMIM)(注)を構成する50社と比較し、ネスレ、UBSやABBなどの著名企業は双方に登場するものの、たとえば香料メーカーのギボーダンはB2B取引が中心で消費者の関心を集める機会が少ないため、ブランドランキングには載らない、と指摘した。逆に、時計ブランドでSMIもしくはSMIMを構成する企業に採用されているのはスウォッチグループのみだが、ブランドランキングにはロレックス(5位)、オメガ(11位)、スウォッチ(20位)、タグホイヤー(24位)などが含まれ、スイスの時計メーカーはその事業規模にかかわらず、ブランド価値が高く評価されていることが分かる。

世界の売上高上位500社の番付である「フォーチュン・グローバル500」2018年版によれば、スイス企業として売上高の首位は資源商社グレンコアだが、ブランドランキングでは13位にとどまった。

(注)SMI(Swiss Market Index)は、スイス証券取引所上場銘柄のうち、時価総額および流動性が最も高い20銘柄で構成される時価総額加重平均指数。SMIM(Swiss Market Index Mid.)は、SMI採用銘柄に次ぐ30の銘柄で構成するスイス中型株指数。

(和田恭)

(スイス)

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