ラオス~タイ間の鉄道による越境貨物輸送を開始

(ラオス)

ビエンチャン発

2019年08月07日

ラオスとタイ間の鉄道による初の越境貨物輸送が8月1日に開始され、タイのレムチャバン港とタイ・ラオス国境のノンカイ駅を経由した10コンテナがラオスの首都ビエンチャンのタナレーン駅コンテナヤードに到着した。初回の貨物はラオス国内工場で使用するビール醸造用のモルト(麦芽)だった。

ラオスとタイ間の鉄道は、タイ国有鉄道がラオス国内に3.5キロ延伸するかたちで整備が進められ、2009年3月にまず客車のみで開通した(2008年7月8日記事参照)。その後、2013~2015年に6億5,500万バーツ(約22億9250万円、1バーツ=約3.5円)の建設費でコンテナヤード、倉庫、積み替え施設、引き込み線などが整備された。協議に時間を要したが、2018年5月にタイ国有鉄道とラオス鉄道局が貨車利用の技術的覚書を締結し、開通から実に10年を経て貨物輸送の開始に至った。

貨物輸送はこれまでの客車に貨車を接続した混成列車で運行する。コンテナは20フィート、40フィートの取り扱いが可能で、1編成当たり20コンテナを最大とし、1コンテナ当たりの積載量15トンを上限としている。現行は1日2往復で、ノンカイ駅(タイ)発タナレーン駅(ラオス)行きが午前7時半と午後2時45分、タナレーン駅発ノンカイ駅行きが午前10時と午後5時半で運行される。

写真 通常はディーゼル機関車に2両の客車と貨車を接続して運行される(ジェトロ撮影)

通常はディーゼル機関車に2両の客車と貨車を接続して運行される(ジェトロ撮影)

日系運輸会社によると、この鉄道で貨物の取り扱いを開始した日系企業はまだないもようだ。トラックによる輸送に比べ、輸入後の空コンテナのタイへの戻し入れに時間を要するとみられ、鉄道輸送の定時運行などが課題だという。一方で、運輸コストの削減が期待できるため、インランドコンテナデポ(ICD)などのインフラ整備が待たれる。タナレーンでは、ラオス企業のシティロジスティックス・ラオが4月に、ICD建設についてラオス政府との間で可能性調査に合意しており、2022年の完成を見込んでいる。

(山田健一郎)

(ラオス)

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