トルクメニスタン経由のトランジット輸送の審査手続きを厳格化

(トルクメニスタン、ロシア、CIS、イラン)

タシケント発

2019年08月02日

トルクメニスタン政府は9月1日から、自国を経由するトランジット(中継)輸送貨物に関し、同国税関による審査手続きを厳格化する。ロシア連邦税関局北西税関支局が7月17日に発表した。この措置は、トルクメニスタン政府からロシア政府に書面で通告があったもの。

下記の情報が記載されている書面をトルクメニスタン税関に漏れなく提出しなければ、トランジット輸送の許可が下りないとしている。必要な記載事項は次のとおり。a.商品の送り手と受け手の名称と所在地、b.商品の仕出し国と仕向け国、c.商品の運送人の名称と所在地。貨物運送業者がトランジット許可を取得する場合は貨物運送業者の名称と所在地、d.トランジット輸送に使用される輸送手段がトラックの場合はトラックの運転手の名前と住所、e.商品の種類と名前、数量、商品価格、重量または容量、HSコード、f.パッケージ〔梱包(こんぽう)〕総数、g.商品の送り先(輸送先)、h.商品輸送中の積み替え、その他貨物取り扱いの予定、i.商品輸送の予定期間、j.商品輸送が特定経路に沿って行なわれる場合はそのルート。

ロシア連邦税関北西税関支局はスムーズな税関手続きのため、a.上記関連書類をトルクメニスタン語で作成、b.トルクメニスタン国内および国境税関で業務を行っている通関業者(ブローカー)のサービス利用の2点を勧めている。

ジェトロがトルクメニスタン税関当局に電話でヒアリングしたところ(7月31日)、a.上記書類の正確性やトルクメニスタン語による提出は現在でも求められているが、9月1日以降は適用が義務的・厳格になる、b.商品のインボイス、パッキングリストについてもトルクメニスタン語に翻訳し提出する必要がある、c.トランジット輸送実施に当たり、事前にトルクメニスタン国内のライセンスを持つ10~15社の通関ブローカーに連絡すべき(注1)、d.仮に事前相談なしに国境まで貨物が到着した場合には検査場に事務所を構える3社(注2)のブローカーが対応する(許可が出るまでの時間とコストがより多くかかる)、とのコメントがあった。

日系企業の関連では、中東(ドバイ、イラン、トルコなど)・コーカサス(アルメニア、アゼルバイジャン、ジョージア)と中央アジア諸国(カザフスタン、ウズベキスタンなど)との間でトルクメニスタンを経由し貨物輸送を行う際に注意が必要だ。

(注1)トルクメニスタン当局は「トルクメニスタンのブローカーの利用は義務的」と説明している。この点、ロシア連邦税関北西税関支局の発表とはニュアンスが異なる。

(注2)トルクメニスタン当局は業者選定の入札の結果、3社に決定したと説明している。

(高橋淳)

(トルクメニスタン、ロシア、CIS、イラン)

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