ソフトバンク系ファンドが中南米に注目

(コロンビア、中南米)

ボゴタ発

2019年08月22日

ラピ(Rappi、コロンビア)、アジェンダ(Ayenda、コロンビア)、クリップ(Clip、メキシコ)、ジムパス(Gympass、ブラジル)、クレディタス(Creditas、ブラジル)、ロッジ(Loggi、ブラジル)。これらは全て、ソフトバンクグループ(SBG)が2019年に投資を行った中南米のテクノロジー・スタートアップ企業だ。SBGが見つめる中南米市場の魅力とは何か。コロンビアの首都ボゴタ市で8月14日に行われた投資フォーラムで、ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)のパートナー、ハビエル・ビジャミサール氏が語った(ソフトバンクグループの中南米展開については、2019年6月7日付地域・分析レポートも参照)。

SVFは2016年の設立以降、米国や中国、インドを中心にテクノロジー分野への出資を行ってきた。2018年にSVFはインドに1億5,000万ドルを投資しているが、中南米への投資は1,200万ドルと、インドの1割にも満たなかった。ところが、2019年に入り中南米の調査を開始したところ、人口やGDPといった経済規模に加え、デジタルライフに関する興味深い指標を目にすることになる。インターネットやスマートフォンの普及により、中南米におけるフェイスブック、ワッツアップ、ネットフリックスの市場規模は米国を上回るまでになっていたのだ。また、ユニコーン企業をみると、2010年にはアルゼンチンのメルカドリブレ(eコマース)1社のみだったが、現在では13社に増えており、ベンチャーキャピタルから100万ドル以上の投資を受けた企業も10社から500社以上に増えている。

一方で、銀行口座、クレジットカードなどの金融商品を持たない人が多く、インターネット利用者に占めるeコマース利用率も世界平均を下回っており、今後拡大していく見込みが大きい。

ソフトバンクとコロンビア政府は4月、コロンビア貿易銀行が設立した起業家とクリエーティブ産業支援のためのファンド「フォンド・デ・フォンドス」にそれぞれ1,500万ドルずつ出資した。今後は、SVFはコロンビア政府とも連携し、世界各地で発掘したスタートアップ企業と中南米のスタートアップを結び付け、シナジー効果によりイノベーションを喚起していくという。

(茗荷谷奏)

(コロンビア、中南米)

ビジネス短信 8505124e0f88a259