白鳳堂、日EU・EPAの効果を実感、今後の事業展開への活用も期待
(EU、日本)
欧州ロシアCIS課
2019年08月02日
広島市近郊の熊野町は約200年に及ぶ長い筆づくりの歴史を誇る。白鳳堂はそこで1974年に画筆、書筆メーカーとして創業し、現在では化粧筆メーカーとして、大手ブランドからもその品質の高さが評価されている。海外展開にも積極的で、商社などを通さず海外の納入先と直接取引し、売上高の7割を海外分が占める。ジェトロは7月25日、同社での日EU経済連携協定(EPA)の利用について、取締役統括部長の高本光氏と営業グループの矢島愛氏に聞いた。
白鳳堂は欧州ブランド企業などに化粧筆をOEMで供給しており、欧州市場での売上高は全体の約10%を占める。欧州ブランド企業の世界展開により、これら企業に納入した製品が欧州を経由して世界の市場に流通するため、同社にとって欧州事業は営業戦略上、重要だ。日EU・EPAの発効後、同社から欧州の取引先に働き掛け、EPAを利用した取引がはじまった。化粧筆のEUの関税率は3.7%あり、EPA発効によってこれが即時撤廃されたことで、コスト削減効果は大きい。現在、取引先から値下げ要求もなく、メリットを享受できている。同社にとっては、取引に当たって品質が最優先で、価格が決定的な要因というわけではない。しかし、今後の取引で関税撤廃によるコスト削減効果を織り込んだ取引条件を提示することで、同社と取引先双方にメリットある事業展開ができるかもしれないとして、今後も積極的に欧州事業にEPAを取り入れていく方針だ。
EPAを利用するに当たっては、品目別原産地規則を満たす基準のうち、関税分類変更基準により原産性の自己申告を行った。同社では日タイ・EPAの利用実績があり、対比表の作成などでその際の経験を活用し、物流企業などの協力も得ながら、あまり大きな負担なく自己証明による手続きを行うことができたという。
(立川雅和)
(EU、日本)
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