7月の乗用車販売は前年比3割減、各部門で深刻な状況が続く

(インド)

ベンガルール発

2019年08月23日

インド自動車工業会(SIAM)は8月13日、7月の自動車統計を発表した。それによると、乗用車販売台数〔多目的車(UV)とバンを含む〕は、前年同月比31.0%減の20万790台にとどまり、直近19年間で最大の落ち込みとなった。一般乗用車は36.0%減の12万2,956台、UVは15.2%減の6万7,030台、バンは45.7%減の1万804台と、各セグメントで需要が低迷し続けている。自動車ローンを扱う金融機関の貸し渋り、自賠責保険料の引き上げ、燃料価格の高騰などの影響で2018年11月以降、9カ月連続の減少となり、状況は深刻だ。

メーカー別の乗用車の月間販売は、首位のマルチ・スズキが前年同月比36.7%減の9万6,478台、2位の現代自動車は10.3%減の3万9,010台と大幅減を続けており、主要メーカー17社のうち、フォルクスワーゲンとMGモーターを除く15社がマイナス成長となった(表1参照)。販売不振の長期化を受け、メーカー各社では、在庫調整のため減産や人員削減などの動きも始まっている。

表1 7月の主要メーカー別乗用車国内販売台数

二輪車では、景気減速で都市部・地方ともに需要が大きく減少しており、二輪車全体の販売台数は16.8%減の151万1,692台にとどまり、2018年12月以降マイナス成長を続けている。うち、スクーターの販売台数は前年同月比12.1%減の52万6,504台、オートバイも18.9%減の93万3,996台と、それぞれ引き続き2桁台のマイナス成長になった。メーカー別の二輪車販売をみると、首位のヒーロー(22.9%減の51万1,374台)、2位のホンダ(10.5%減の45万5,036台)、3位のTVS(15.7%減の20万8,489台)など、ほぼ軒並みマイナスとなった(表2参照)。

表2 7月の主要メーカー別二輪車国内販売台数

商用車(前年同月比25.7%減の5万6,866台)および三輪車(7.7%減の5万5,719台)を含む7月の自動車総販売台数は、18.7%減の182万5,148台だった(表3参照)。今後の見通しについて、SIAMは「9~11月の祝祭シーズンの特需により、向こう数カ月で一時的な回復が期待できるが、厳しい経済状況は今後も続くため、通年では5年ぶりに前年割れとなる可能性が高い」との見解を示した。SIAMは7月13日、これまで一番長い景気後退に直面する自動車産業を再び軌道に乗せるために、政府に対しあらためて、自動車に適用される物品・サービス税(GST)を現在の28%から18%への引き下げ、自賠責保険負担軽減などの消費刺激策を早急に実施するよう求めた。

表3 7月の部門別自動車の販売台数

(ディーパック・アナンド)

(インド)

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