絹製品の生産・輸出増に向け、政府支援と民間投資が本格化

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年08月08日

ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領が7月31日に大統領決定第4411号「絹産業のさらなる加工発展に関する追加措置について」に署名したことが、8月1日に発表された。第4411号には、国内での「絹クラスター」の設立、2025年までの絹関連製品の生産量の増加予測(目標)、国内絹関連企業の2021年までの投資計画を掲載している。政府は、生産・輸出関連企業に対し、免税措置と輸出費用の補助を行う。

同決定では、「国外で伸びているウズベキスタン(絹)製品への需要に対応し、絹産業の発展に関する追加措置をとる」と明記。政府は絹産業振興のため、a.2022年8月1日まで絹製品(じゅうたん、染布、織布、ブラウス、衣料品、ショール、ネクタイなど)の米国、EU、トルコ向け鉄道・航空輸送費を50%まで負担、b.養蚕事業主・小規模農家への税制優遇、c.絹製品製造業者への免税措置の2021年1月までの延長、d.生繭の買い取り価格を2020年から20%以上、2021年からは追加的に10%以上引き上げなどの措置をとる。

民間部門では、業界団体「ウズイパクサノアト」(「ウズベキスタン絹産業」の意)に加盟する58企業(注1)の周辺地域を養蚕から製品製造までを行う「結合地域」として指定し、産業のクラスター化を図る。絹関連製品の生産額を、現状の1億7,242万ドルから2025年には5.7倍の9億7,794万ドルに、輸出額を5,074万ドルから10.2倍の5億1,592万ドルまで引き上げる。工程別の生産増加量は以下を予定する。a.生繭(現状の1.7倍、3万トン)、b.生糸(1.7倍、3,180.8トン)、c.真綿(2.1倍、1,060.3トン)、d.絹撚糸(ねんし)(8.4倍、2,182トン)、e.絹布(8.2倍、2,400万延べメートル)、f.絹じゅうたん(40.8倍、2,450枚)、h.絹(完成)製品(207.6倍、1,256万枚)。

生産・輸出額の増加に向け、ウズイパクサノアト加盟企業は積極的な投資を行う。同決定付属文書4号には総額1億5,150万ドルに及ぶ59の投資計画に関する詳細(生産拡大量、実施時期、投資額における自己資本・銀行からの融資・外国投資受け入れ額の内訳)が明記されている。

国際養蚕業委員会の統計によると、2018年の世界の絹生産量は15万9,648メートルトン(以下、トン)(注2)で、現状は中国(12万トン)が圧倒的なシェアを占める。以下、インド(3万5,261トン)、ウズベキスタン(1,800トン)が続いている。

写真 伝統柄とシルクを生かした製品(タシケント市内「ブハラ・ブリリアント・シルク」)(ジェトロ撮影)

伝統柄とシルクを生かした製品(タシケント市内「ブハラ・ブリリアント・シルク」)(ジェトロ撮影)

写真 ウズベキスタン産繭(ジェトロ撮影)

ウズベキスタン産繭(ジェトロ撮影)

(注1)中国との合弁企業4社、シンガポールとの合弁企業3社、ロシア・米国との合弁企業1社、韓国との合弁企業1社が含まれている。

(注2)メートルトン:1,000キログラムに相当。

(高橋淳)

(ウズベキスタン)

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