インドからの移民流入が5年間で倍増、知的労働者の4分の3がIT分野

(オランダ、インド)

アムステルダム発

2019年08月07日

オランダ中央統計局(CBS)の7月25日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、インドからの移民の年間流入数は2012年に3,955人だったが、毎年増加を続け、2017年には8,630人と2012年の2.2倍に達した。移民は主に知的労働者(全体の44%、注)とその家族(37%)で、知的労働者の4人に3人がITや情報サービス分野で主にソフトウエアの開発、製作、出版、ITコンサルタント業に携わっている。学生の割合は2割に満たないものの、2012年の425人から、2017年には1,400人と大幅に増加している(図1、2参照)。

図1 インドからオランダへの移民流入数
図2 インドから流入する移民の内訳

インドからの移民の知的労働者の所得は、オランダの従業員と自営業者よりも高い。2013年から2017年の5年間の平均で、オランダの全従業員および自営業者の年間個人所得の中間値は3万4,000ユーロ、インドからの知的労働者のそれは4万300ユーロとこれを上回っている(図3参照)。

図3 年間平均個人所得

IT関連分野に従事することの多いインドからの移民の居住先は、限られた自治体に集中する傾向にある。2017年にオランダに来たインドの知的労働者と家族は、主にイノベーション分野の進んだ地域とその周辺地域であるアムステルダム、ハーグ、アムステルダムに隣接するアムステルフェーン、南部のアイントホーフェンなどに集中している。また、オランダで最古かつ世界的にも水準の高いと言われる工科大学などが所在している中部のデルフトへの移民の多くは学生で、多くは技術や工業デザイン、土木工学などの分野を学んでいる(図4参照)。

図4 インドから流入した移民の主な居住先(2017年)

なお、CBS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2017年のオランダへの移民の流入は約23万5,000人で(1865年の統計開始以来、最大)、その約半数は他のEU諸国からの移民だった。非EU諸国からの2017年の移民としては、インドからの移民がシリアからに次いで多い。

(注)知的労働者:高度な資格を持つ外国人労働者として、最長5年間(延長可)の労働と居住が認められる。知的労働者と認められるためには、給与月額(税込)4,500ユーロ以上、30才未満は3,299ユーロ以上(2019年度現在)の収入が必要。

(高橋由篤)

(オランダ、インド)

ビジネス短信 42a40e2bd3353d09