製造業展示会、自動化や米中貿易摩擦を受けた動きも

(ベトナム)

ハノイ発

2019年08月27日

ベトナムの製造業の代表的な展示会「ベトナム・マニュファクチャリング・エキスポ(VME)2019」が8月14~16日、ハノイ市の文化宮殿で開催され、来場者は3日間で1万1,000人以上を記録した。ジェトロが管轄する日系企業のブースや長野県パビリオンが設けられるなど、日本企業の出展が30社以上と外国勢としては多数を占めたほか、タイや台湾、シンガポールなども国・地域別のパビリオンを設けた。

ファクトリーオートメーションに向けた展示が注目

展示会場の入り口付近では、ABB(スイス)やエプソンなどが生産ラインで活用するロボットアームの実演を行うなど、ファクトリーオートメーション(FA)関連の展示が注目を集めた。ベトナムでは、政府が推進するインダストリー4.0、人件費の高騰などを背景に、企業が生産ラインの自動化を検討する動きが始まっている。

ジェトロの「2018年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、ベトナムで現在、モノのインターネット(IoT)やロボットを導入済みの日系企業は10%以下にとどまるが、中長期的(5~10年程度)にそれらの活用を検討している企業は多く、FA関連製品を販売する企業にとって、ベトナムは新規市場となる可能性を秘めている(表参照)。

表 ベトナムにおける日系企業のデジタル技術の活用状況

中国からの生産移管の動きが顕在化

中国に拠点を構えているある日本企業は、中国での生産コスト上昇を見据え、ベトナムでのサプライヤー探しのために展示会を訪れた。同社の担当者は「日本語のできる担当者を配置しているベトナム企業も多く出展しており、即日で出展企業の工場訪問も実現できた」と述べた。将来的にはベトナム進出も検討するという。

金型を製造するベトナム企業の担当者は「2、3月ごろから中国企業による問い合わせが増えている」という。また、金属部品を製造するベトナム企業、金属筐体(きょうたい)を製造するベトナム企業の担当者はともに、「米国企業から新たに米国輸出向けの問い合わせがきている」という。出展するベトナム企業へのヒアリングを通じて、米中貿易摩擦を受け、中国企業が生産拠点をベトナムに設立するに当たっての調査をする動き、米国企業が調達先を中国からベトナムに代えようとする動きがみられた。

写真 ロボットアームの実演に集まる来場者(ジェトロ撮影)

ロボットアームの実演に集まる来場者(ジェトロ撮影)

(庄浩充)

(ベトナム)

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