TOYO TIRE、セルビアにタイヤ工場を新設

(セルビア)

ウィーン発

2019年08月06日

TOYO TIREは7月30日、セルビア北部のインジヤ市にグループ8カ所目となるタイヤ工場を新設すると発表した。

TOYO TIREは進出の理由として、「セルビアは、比較的低位な賃金水準で質の高い優秀な人材を有しているほか、近年の経済改革や財政健全化、外資企業の相次ぐ投資による自動車産業の集積化、日本との2国間関係強化といった進展が顕著で、欧州の中でもひときわ魅力あるビジネス環境が整ってきている」としている。また、新工場にはモノのインターネット(IoT)を導入し、高品質と低コストを両立した競争力のある体制を構築するとし、高品質な乗用車とライトトラック用タイヤを、欧州市場の内外に向けて供給して行く予定、としている。

アレクサンダル・ブチッチ・セルビア大統領も同日、「TOYO TIREの(生産拠点の誘致に向けた)交渉過程は3年間にも及んだ。候補地は中・東・南欧諸国から、最終的にセルビアとポーランドに絞られた。同社の最初で唯一の欧州製造拠点として、セルビアが選ばれたことに本当に安堵(あんど)と喜びを感じている。日本企業によるさらなるセルビアへの投資が続けて行われることを期待している」とメディアに語った。

インジヤ市は首都ベオグラードから北西約40キロに位置し、第2の都市ノビサドからも近く、2つの工業特区を有する。また、鉄道や道路のアクセスが良く、インジヤ南東工業特区にはドイツの自動車部品メーカーIGBオートモーティブ、インジヤ北東工業特区にはデンマークのポンプ製造大手グルンドフォスやドイツの化学メーカーのヘンケルなど多くの企業が進出している。

新工場の敷地面積は60ヘクタールで、2022年1月の操業開始を目指し、2020年5月には建設が開始される予定だ。投資額は約488億円、雇用予定人員は500人ほどで、エンジニアはベオグラードとノビサドから雇用されるという。

現在、セルビアに進出している日本の製造業は7社で、矢崎総業、パナソニック、JTI(JTインターナショナル)、HI-LEXなどがある。欧州主要国に比べると少ないが、今後の進出が期待される。

(鈴木秀男)

(セルビア)

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