欧州議会、ブレグジットめぐり英国政府に慎重な判断求める

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年08月29日

英国のEU離脱(ブレグジット)問題で、欧州議会の対策グループ座長を務めるギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)は8月28日、「(ブレグジットをめぐる今後の対応について)慎重に判断するための議論を封印してしまうことは、安定した将来のEU・英国関係の構築に役立つとは考え難い」とツイッターに投稿。英国のボリス・ジョンソン首相が英国議会でブレグジット反対派との論議を避けるため、議会の休会を宣言したことを受け、英国議会との協議を含めてブレグジット問題を慎重に判断することを求める考えを示唆した。

EU側の態度軟化も、離脱協定案修正の余地なし

フェルホフスタット議員はこれまで、ブレグジットをめぐるジョンソン首相の強硬姿勢に批判的なスタンス(2019年8月27日記事参照)を示してきたが、この日のツイッターでは、「(英国のブレグジット推進派が主張してきた)『主権を取り戻す』という概念がこれほど悪意のある捉えられ方をされたことはなかった。同じ議会関係者として、(民意によって選ばれた議員の)声に届けようと戦う者に共感する」と発信した。この背景には、「合意なきEU離脱(ノー・ディール)」を強行しかねないジョンソン政権に対する強い警戒感があるものと考えられる。

なお、欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長は8月27日、ブレグジットをめぐってジョンソン首相と電話で協議し、ジョンソン首相に具体的な提案があり、双方で合意している離脱協定案に整合している限り、EUとして前向きに協力する考えを伝えたという。また、ユンケル委員長は、EUはノー・ディールに対する準備は完全にできているとしたが、ノー・ディールを回避するためEUとして全力を尽くすとも付言。ジョンソン首相に対する姿勢をやや軟化させている。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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