第2四半期GDP、前期比の速報値では3四半期ぶりのマイナス成長

(ドイツ)

ベルリン発

2019年08月22日

ドイツ連邦統計局は8月14日、2019年第2四半期の実質GDP速報値を前期比で0.1%減と発表、3四半期ぶりのマイナス成長となった(図参照)。前年同期比では0.4%増と、第1四半期の0.8%増より成長が鈍化した。

前期比では、個人および政府による消費支出増と投資の増加が経済を支えたが、建設投資の減少と輸出の落ち込みが経済成長にブレーキをかけたかたちとなった。

ドイツ産業連盟(BDI)は同日、「ドイツ経済は困難な時期に直面しており、官民の投資を刺激する政策が必要だ」として、政府は財政均衡にこだわらず財政出動へ政策を転換させるべきと要請した。また、ドイツ商工会議所連合(DIHK)も同日、「会員企業へのアンケート調査のよると、企業の先行きへの見通しは暗く、特に国外での事業の景況感は過去10年になかったほど悪化している」として、厳しい状況にある企業の負担を軽減すること、特に税負担の軽減の必要性を訴えている。

8月19日に発表されたドイツ連邦銀行の月報では、「ドイツの景気は今年の夏も停滞を続けるだろう。成長率の微減が続くかもしれない」と、景気後退の可能性を示唆した。月報によると、2019年前半から受注が減少しており、景況感も悪化している製造業の不調が顕著で、現在入手可能なデータからは第3四半期の工業生産が落ち込むことが予測されるとしている。

メルケル首相は8月14日に、現下の経済減速をめぐり、注視して必要があれば対応を取らなければならないが、すぐには財政刺激策は必要ないと述べているが、今後、財政出動を求める政府への圧力が強まるかもしれない。

図 ドイツのGDP成長率(前期比)の推移

(ヴェンケ・リンダート、中村容子)

(ドイツ)

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