政府と産業界が大気汚染防止関連法の履行協力を表明

(コロンビア)

ボゴタ発

2019年08月09日

コロンビアの環境・持続可能な開発省は8月2日に記者会見し、官民の関係機関が協力して、自動車による大気汚染防止に関連する2019年法律第1964号(7月11日施行)と法律第1972号(7月18日施行)を履行していくことを表明した。産業界からは、コロンビア産業連盟(ANDI)、コロンビア商業組合(Fenalco)、コロンビア石油公社(エコペトロール)が会見に参加した。

2019年法律第1964号は、電気自動車の普及のために、(1)電気自動車の自動車税を車両価格の最大1%とする(通常は最大3.5%)、(2)自動車強制保険料の10%割引、(3)走行規制(注)の対象外とする、などの優遇措置を定めている。市民の足であるバスなどの大量輸送システムに使用される車両については、2025年以降、新規納入車両の10%を電気自動車またはゼロエミッション車とし、2035年以降は100%にすると明記された。法律施行後3年以内に、急速充電スタンドを人口200万人規模の都市では最低5カ所、ボゴタ市では最低20カ所に設置することも定められた。

2019年法律第1972号は、自動車の排ガス規制について定めている。国内で流通するディーゼル燃料の硫黄含有量を、2023年1月1日までに15~10ppm、2025年12月1日までに10ppmとする目標が明記された。新しく製造または輸入される自動車については2023年以降、既に市場に流通している自動車については2035年以降、「ユーロ6」の基準を満たすことを義務付けたほか、2030年以降、新規に納入される公共交通機関の車両の最低20%をゼロエミッション車とすることが定められた。また、環境・持続可能な開発省および運輸省が2年以内に、全てのディーゼル車に車載式故障診断装置(OBD)を搭載し、同システムを通じたディーゼル車の監視および管理を行うための規定を策定することも定められた。

リカルド・ロサノ環境・持続可能な開発相は会見で、「これらの法律はコロンビアの大気環境を改善し、国民の健康を守るためのわれわれの戦略の一部だ」と述べ、関係機関が協力して取り組んでいくことの重要性を強調した。

国家企画庁(DNP)が2016年に実施した調査によると、2015年に国内で大気汚染が原因とみられる病気で死亡した人の数は8,052人で、凶悪犯罪によらない死者数の9%に相当する。

(注)主要都市において、渋滞緩和や大気環境改善のために、車両のナンバープレート番号に応じて、走行できない時間帯が定められている。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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