伊藤忠商事、大手自動車リース会社に出資

(コロンビア)

ボゴタ発

2019年07月29日

伊藤忠商事は6月20日、大手自動車リース会社のエキレントが行う第三者割当増資を引き受け、25%の株式を取得すると発表した。7月12日にコロンビアの首都ボゴタ市内で両社による投資記念式典が開催され、多くの関係者が集まった。新会社の商号は「エキレント・ベイクロス・イ・マキナリア(Equirent Vehiculos y Maquinaria、本社:ボゴタ)」で、総資産は2億ドル。自動車や農機、建機のオペレーティングリース、契約メンテナンス、レンタカーおよびカーシェアリング事業を行う。管理台数は6,400台で、業界2位。記念式典で、エキレントが所属するセイサグループ代表のカルロス・ベガララ氏は「今回の提携により、国内のみならず隣国での既存ビジネスの拡大および、将来的には人工知能(AI)や機械学習といった新たな技術を導入したサービスの提供を行うことが可能となる」と語り、事業拡大へ意欲を示した。

ジェトロは7月19日、伊藤忠コロンビア会社の栗林聖一社長から、今回の出資参画について話を聞いた。

栗林社長によると、同社は近年、消費者により近いセクターにおける事業拡大を推進しており、今回の出資もその事業戦略の一環。セイサグループとは50年近い取引関係があり、深い信頼関係を構築した上での出資となったという。舩嵜裕充自動車部門マネージャーは、エキレントの強みが、顧客に寄り添った丁寧なサービスにあると指摘する。例えば、鉱山で使用されるピックアップトラックのリースでは、同社の社員が現場に常駐し、粉じんなどにより故障が起きやすい車両の整備を迅速に行う。リースしている車両の稼働率が100%になるよう、代替車の手配も欠かさない。このように、顧客に近いオペレーティングリース事業を行うエキレントへの出資により、所有からリース、シェアリングへと移りつつある自動車業界の変化に、より早く対応できるようになるだろうと語る。伊藤忠商事は、日本など先進国のリース事業で培った管理手法を強みに、エキレントの既存ビジネスの拡大、および自社の既存トレードの拡大も目指す。また将来的には、中南米諸国での同事業の展開も見据える。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

ビジネス短信 cd1ac9a1b8494bfc