トルコ、米国の制裁リスク軽減で市場は好感

(トルコ)

イスタンブール発

2019年07月02日

G20大阪サミット(6月28~29日)で、トルコのエルドアン大統領と米国のトランプ大統領との首脳会談が友好的に終わり、ロシア製S-400ミサイルシステム導入をめぐる米国からの制裁リスクが軽減したことを、市場は好感した。また、エルドアン大統領は日本との関係においても経済関係のさらなる強化を求め、2019年内の日トルコ経済連携協定(EPA)締結に意欲を示した。

エルドアン大統領は制裁回避の見通し

トルコにおけるG20大阪サミットの関心は、主にエルドアン大統領とトランプ米大統領との会談で、トルコによるロシア製S-400ミサイルシステム導入に対して、制裁があるか否かにあった。首脳会談後、エルドアン大統領は、ミサイルシステム導入に絡む米国からの制裁を回避できるとの見通しを示し、両国間の戦略的パートナーシップを確認できたことを強調した。

トランプ米大統領も、両国間の貿易を4倍に増加させることを目標としているとし、軍事分野で米国製品をより多く購入すると期待していると語った。ただし、同大統領は、問題の発端はトルコのミサイルシステム導入に関して、バラク・オバマ前大統領の任期中に公正な姿勢が示されなかったことにあると述べ、制裁に関しては明言を避けた。市場は、トランプ大統領が制裁に関して積極的ではなく、制裁があるとしても軽微にとどまるとの観測が高まり、好感した。しかし、まだグレーな状況に変わりはなく、直近のリスクが回避されただけとみる向きもある。

日トルコEPAの2019年内締結を望む

エルドアン大統領は、経団連主催の懇談会で、日トルコEPA交渉に関して2019年内の締結を望んでいるとしたが、両国の経済発展と貿易目標を考慮し、トルコ産農産品の輸出に係る分野などで日本側の理解を求めた。また、鉱業・エネルギー部門などへの投資を呼び掛け、トルコ政府の投資への支援体制が整っていることを主張した。さらに、両国の第三国連携にも意欲を示し、建設プロジェクトなどで、特にサブサハラアフリカ、中央アジア、中東でのポテンシャルが高いことを強調した。

(中島敏博)

(トルコ)

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