ロシアと韓国、投資・サービスFTAの締結交渉を開始

(ロシア、韓国)

モスクワ発

2019年07月04日

ロシア経済発展省は6月20日、マクシム・オレシキン経済発展相と韓国のユ・ミョンヒ産業通商資源部通商交渉本部長が投資・サービス自由貿易協定(FTA)の締結交渉開始に関する声明に署名したと発表した。経済発展省は、締結が実現するとロシアのサービス産業の国際競争力強化につながるとともに、韓国からロシア各地域への投資拡大が見込めるとしている。韓国はロシアの主要な貿易・投資相手国で、2018年末までのロシアへの累積直接投資額は11位、2018年の貿易総額は8位(248億ドル)だった。

ロシアはベトナムと同様の協定を結んでいる。ロシアを含むユーラシア経済連合(EEU)とベトナムが締結したFTAの中で、ロシア・ベトナム間の投資・サービスFTAが規定されている。これによると、別に定める例外を除き、締約国は他方の国の投資家、サービス事業者に対して、最恵国待遇(他の国の事業者に与えている条件よりも不利にならない待遇)と、内国民待遇(自国事業者に与えている条件より不利にならない待遇)を供与する。また、EEUはシンガポールと2017年8月からFTAの締結交渉を開始しており、この中でロシアはシンガポールとも、投資・サービスFTAを締結することで合意している。

EEUと韓国の間では、モノのFTA締結に向けた議論も行われているが、正式な交渉開始には至っていない。モスクワで6月17日に行われたロ韓外相会談後に発表した声明の中で、セルゲイ・ラブロフ外相は「ロシアは貿易自由化に関する韓国とEEU間の議論を支持する」と述べた。しかし、全ロシア貿易アカデミー国際経済金融研究所のタチヤナ・フレゴントワ副所長は、EEUが韓国とモノも含めた完全なFTAを締結する段階にはまだないとみている。EEU加盟国はセンシティブな産業を抱えるためだ。例えば、加盟国内の自動車産業は関税が撤廃されると打撃を受けるリスクを挙げた(「現代の経済」6月17日)。

(エカテリーナ・セミョノワ)

(ロシア、韓国)

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