貿易・投資の増加を背景にカザフスタン系銀行がCIS地域から初進出

(ウズベキスタン、カザフスタン)

タシケント発

2019年07月12日

カザフスタン最大手銀行の1つ「カザフスタン人民銀行」の子会社「テンゲ銀行」は7月10日、ウズベキスタンの首都タシケントで営業を開始した。中央アジアを含むCIS地域からウズベキスタンに進出した銀行は同行が初めて。その背景には両国間の貿易・投資の増加がある。

カザフスタン人民銀行の7月10日付プレスリリースによると、テンゲ銀行は2018年9月にタシケントに法人を設立。5月にウズベキスタン中央銀行から銀行業ライセンスを取得し、今回の営業開始に至った。テンゲ銀行は当初は法人と個人事業主向け営業、インターネットバンキングの導入、ウズベキスタンでの商品・サービス開発に注力する。テンゲ銀行会長のアスラン・トルパコフ氏は、ウズベキスタンに進出したカザフスタン企業へのサービス提供やウズベキスタンからカザフスタン向けのテンゲ送金需要を積極的に取り込む意向を示している。

両国間の貿易・投資額は増加している。ウズベキスタンのカザフスタンからの輸入は2018年に16億4,331万ドルで前年比31.4%増、カザフスタン向け輸出は8億4,477万ドルで14.9%増となった。今後、カザフスタン産原油のウズベキスタン向け輸出も予定され、さらなる貿易額の増加が見込まれている。カザフスタンからウズベキスタンへの直接投資も、2016年の540万ドルから2018年に2,070万ドルと大きく増加。2019年第1四半期(1~3月)は既に750万ドルを記録し、2018年を上回るペースで投資額が伸びている(注1)。

ウズベキスタンに進出した外資系銀行は同行で6行目(注2)。このほかにも、ジョージアの大手銀行であるTBC銀行は4月にウズベキスタンの決済サービス大手「ペイ・ミー」(Payme)の株式51%を取得。同行は2019年内に銀行業ライセンスを取得し、インターネット経由サービスと電子決済に特化した銀行(デジタル銀行)の展開を目指す意向を示している。

写真 テンゲ銀行本店(タシケント)(ジェトロ撮影)

テンゲ銀行本店(タシケント)(ジェトロ撮影)

(注1)貿易額の出所は国際貿易センター(ITC)トレードマップ。投資額の出所はカザフスタン国立銀行(中央銀行)。

(注2)ウズベキスタンの銀行市場に関する詳細については調査レポート「ウズベキスタンの商業銀行」PDFファイル(2.1MB)(2017年5月)を参照のこと。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、カザフスタン)

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