ダイムラーなど、MaaSやAR分野でスタートアップと積極的に連携

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2019年07月29日

大企業とスタートアップの提携促進を目的とするイベント「エキスポ・デー」が、ドイツのシュツットガルトで7月16日に開催され、大企業25社とスタートアップ39社が取り組んだ69の協業試験プロジェクトが紹介外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。このイベントは、モビリティー分野での大企業とスタートアップの協業を進める「スタートアップ・アウトバーン」のプログラムの一環として行われたもので、プログラムが開催されるのは今回で6回目。「モビリティーの将来」や「革新的な生産」といったテーマが設定された。当日は、同プログラムを主宰するダイムラーの研究イノベーショングループの部長を務めるヤスミン・アイヒラー氏らが講演したほか、多くパネルディスカッションなどが行われた。

スタートアップ・アウトバーンは、ダイムラーが、世界的なアクセレーターであるPlug and Play、シュツットガルト大学、最先端の製造手法などの研究開発を行う官民パートナーシップ「ARENA2036」などとともに2016年に立ち上げたイノベーション・プラットフォーム。年に2回、3カ月間にわたり、プラットフォーム参加企業とスタートアップが、今後の導入を視野に入れた試験的プロジェクトを実施し、その成果をエキスポ・デーで発表する。今回は、村田製作所およびAGCがパートナーに名を連ねているほか、過去には日本のスタートアップもこのプログラムに参加している。

アイヒラー部長は「スタートアップ・アウトバーンは、モビリティー分野で新たな技術やビジネスモデルを探求し、スタートアップとの連携を促進するための欧州最大規模のプラットフォーム」と指摘する。ダイムラーはこれまで、このプラットフォームを通じ5,000社以上のスタートアップを発掘し、情報通信技術や人工知能(AI)、製造、スマート部材などの分野で100社以上と150のパイロットプロジェクトを実施している。今回も20社と3カ月にわたって提携を模索し、拡張現実(AR)の技術を使った車両メンテナンスの遠隔サポートシステムや、MaaS(注)向けのブロックチェーン技術を活用した分散型管理システムなどをスタートアップと開発したという。

なお、次回の第7期は「ザ・ネクスト・グリーン・シング」をテーマに開催され、気候変動対策や二酸化炭素(CO2)排出削減などの持続可能性の分野に焦点を合わせるとしている。時期や場所は未定。

写真 モビリティー分野での新しい技術が紹介される(Plug and Play提供)

モビリティー分野での新しい技術が紹介される(Plug and Play提供)

写真 メインステージでのセレモニー(Plug and Play提供)

メインステージでのセレモニー(Plug and Play提供)

(注)MaaSとは、情報通信技術を活用して、交通手段によるモビリティー(移動)を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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