大統領選を前に連続で自爆テロ発生

(チュニジア)

パリ発

2019年07月04日

チュニジアの首都チュニスで6月27日に、警察官を狙った自爆テロが2件同時に発生した。警察官1人が死亡、一般市民を含む8人が負傷した。

大統領は入院

さらに、同日の27日には92歳のベジ・カイドセブシ大統領が体調不調で急きょ入院した。死亡説が一時流れたが、7月1日に退院し、容態は安定していると大統領府は発表した。ただ、今後の執務能力には疑問が残る。

27日の最初の事件は、チュニスのメインストリートの1つのシャルルドゴール通りで警備に当たっていた停車中のパトロールカーの前で発生し、続いて最初の事件現場から2キロ南方のエル・ゴルジャニ区にある国家警備隊基地(反テロ対策本部)に駐車中の車の前で2件目の自爆テロが発生した。2018年10月末にも、警察を狙った類似の自爆テロがブルギバ通りで発生している。事件当日、アマーク通信を通じ、イスラム国が犯行声明を出しているものの、真相は定かではない。

10月6日には国民議会選挙、11月10日には大統領選挙を控え、チュニジアは既に政治的な緊張状態にある。その中で起こった一連の出来事に関して、大統領府は政治的混乱を避けるため、6月27日に声明を出し、大統領の容態回復と政権を執行できることを強調した。ユセフ・シャヘド首相は、27日の事件後直ちに現場に出向き、「この事件は失敗に終わった。テロリズムと戦うことを固く誓う」と強気のコメントを出した。また、チュニジアの主要産業である観光への影響が危ぶまれる中、観光・手工業省広報官は6月29日、テロの影響による予約のキャンセル、予定滞在期間の短縮などはないと発表した。同省はテロ発生の10分後には対策本部を立ち上げ、状況の把握に敏感に対応している。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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