G20で米中貿易摩擦の解決を促したオーストラリア首相

(オーストラリア、中国、米国)

シドニー発

2019年07月05日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は6月28、29日に開催されたG20大阪サミット(首脳会議)に参加した。同首相はサミット前夜、米国のトランプ大統領と夕食を共にした際に、両国の良好な関係を確認し、「(米国と中国の)2国間に発生する貿易摩擦が複数の国・地域に影響を与えている事実がある」と伝え、米中貿易戦争の解決がいかに重要かをトランプ大統領に伝えた(公共放送ABC 6月28日)。

モリソン首相は、中国の習近平国家主席とも短い会談を持ち、米中貿易摩擦の解決を促した。また、WTOについては時代の変化とともに改革が必要との考えを同主席に伝えた。モリソン首相はG20において、「米中貿易摩擦の仲介役として、解決を促すため最善を尽くした」と、オーストラリア国内では好意的に報道された(「ザ・オーストラリアン」紙6月28日)。

オーストラリアは事実上、ファーウェイの第5世代移動通信システム(5G)参入を禁止している。米中首脳会談でのトランプ大統領のファーウェイ製品の禁輸措置変更に関する発言を受け、サイモン・バーミンガム外務・貿易相は「わが国の政策は、外国政府からの指示や影響を受ける可能性のある企業が、5Gネットワーク構築へ参入することを制限しており、方針が正当なことに変わりはない。今後の動向を注視する」と述べた。

G20サミットの成果について疑問視する報道も

他方、最大手の経済紙「ザ・オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー」は6月30日に、「2018年12月のブエノスアイレスで開かれたG20サミットと同様、今回のサミットで米中貿摩擦が解決したという成果は何もない。知的財産権や技術移転など本来の主要事項は何も進展していない」とする国内最大手銀行オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の中国専門家のコメントを掲載し、今回のサミットの成果について疑問視する見方を示した。

(長島麻子)

(オーストラリア、中国、米国)

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