商務省、中古車の輸入を禁止または許可制と定める省令を官報掲載

(タイ)

貿易投資相談課

2019年07月02日

タイ商務省(MOC)は6月13日付で、中古自動車(以下、中古車)の輸入禁止または申請による許可が必要と定める省令(注1)を官報に掲載した。同省令では、クレーン車と救急車を除く中古車〔HSコード:8701、8702、8703、8704、9706(注2)〕の輸入を禁止することとしており、同省令は官報掲載から180日後に当たる12月10日に施行される予定だ。なお、輸入禁止の対象外として、管轄省庁から承認や許可などを得れば、輸入が可能となるものは以下のとおり。

  1. 外務省(MFA)が認可した、外国の大使館、総領事館、国際組織、貿易投資促進機関、特権を与えられた外国の機関および個人の中古車
  2. MFAが認可した、防災を目的として政府など公的団体へ寄付された中古車
  3. 税関の事前手続きを経た、一時的に外国へ輸出し再びタイへ返送される中古車。または一時的にタイに輸入し、再び外国へ返送される中古車(注3)
  4. 1度タイで自動車登録し輸出したが、外国で通関できず2年以内にタイへ返送された中古車
  5. 工業団地公社(IEAT)および税関が定めるフリーゾーン(FZ)で修理を行うために、一時的に輸入する中古車
  6. 物品税局(Excise Department)から物品税の免除を受けた、研究や性能の検査を目的とした中古車
  7. 芸術局(Fine Arts Department)から承認を得た、博物館での展示を目的とした中古車
  8. 国防省(MOD)が武器管理法に基づいて許可した中古車

タイでは従来、中古車輸入を許可制とし、商業目的の輸入は実質禁止されてきた。輸入許可の条件は主に個人用、政府関係、再輸出目的に限られていた。それでも商務省は、個人輸入中古車が環境面および安全面において社会へ及ぼす悪影響や、これまで脱法的に行われてきた販売行為といった問題を念頭に、それらを防止するための法令策定を近年、進めてきた。

また、対象外となる中古車の許可などを行う管轄省庁がより明確になったほか、効率化のため、許可申請手続きの簡素化も進められている。

輸入許可を得ていない中古車がタイへ到着した場合、税関は当該車両を廃棄する権限を有するので注意が必要だ。

(注1)省令の原文(タイ語)は、官報のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)HSコード9706は、製造後100年を超えた「骨董(こっとう)」で、自動車でいえばビンテージカーを指す。

(注3)観光目的で車両を一時的に輸出入して使用する場合は、観光滞在する期間内でなければならない。

(川崎楽区)

(タイ)

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