米FTCと米司法省、フェイスブックに50億ドルの制裁金での和解を発表

(米国)

米州課

2019年07月26日

米国連邦取引委員会(FTC)と米司法省は7月24日、フェイスブックが個人情報保護に関する行政命令に違反したことに対して、同社が50億ドルの制裁金を支払うことで和解したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。FTCによると、米連邦政府による制裁金としては過去最大規模という。

米当局の発表によると、個人情報の取り扱いをめぐりフェイスブックとFTCが2012年に和解した際に、FTCは、フェイスブックが第三者のアプリケーション開発者と個人情報を共有する場合には、事前にユーザーから明確な同意を得なければならないとの行政命令を出していたが、FTCによる調査の結果、フェイスブックは、第三者がユーザーの個人情報にアクセスできる範囲についてユーザーを欺いていたとしている。2018年3月に英国コンサルティング会社のケンブリッジ・アナリティカがフェイスブック利用者8,700万人分のデータを不正に収集していたことが判明し、FTCはフェイスブックが行政命令に違反していないか調査を行っていた。なお、FTCは同日、破産申請したケンブリッジ・アナリティカの前の最高経営責任者(CEO)のアレクサンダー・ニックス氏と元アプリ開発者のアレクサンドル・コーガン氏との間で、これまでに収集した全ての個人情報を削除または破棄することで和解したことを明らかに外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

フェイスブックとの和解内容PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、フェイスブックは50億ドルの民事制裁金を支払うとともに、利用者のプライバシー情報の保護に関する包括的な新しい順守措置を実行することに合意した。新たな順守措置には、フェイスブックの行動を監視する独立した評価者の任命や、全ての新規または変更されたフェイスブック製品のプライバシー審査の実施、フェイスブック取締役会の中に独立プライバシー委員会の設立、マーク・ザッカーバーグCEOによる年次コンプライアンス認定のほか、さまざまな報告や記録管理が含まれる。

FTCのジョー・シモンズ委員長は「世界中の何十億人ものユーザーに対して、自分の個人情報の共有方法を制御できると繰り返し約束しているにもかかわらず、フェイスブックは消費者の選択を狭める措置を講じた」と批判した上で、「50億ドルの制裁金と広範囲の救済措置は、FTCの歴史の中で前例のないものであり、救済策はフェイスブックのプライバシー文化全体を変えさせ、継続的な違反の可能性を減らすことを目的としている」と述べた。

(中溝丘)

(米国)

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