G20大阪サミットをブラジル大統領は積極的に評価

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年07月05日

6月28日から29日にかけて開催されたG20大阪サミットに出席し、30日に帰国したブラジルのボルソナーロ大統領は、記者団に対して「ミッションは達成された」とし、首脳会議や関連して開催された複数の会合に対して積極的な評価を述べた。

サミット期間中、ボルソナーロ大統領は、会合の合間時間を活用して、日本、米国、インド、サウジアラビア、シンガポール、フランス、ドイツとの首脳レベルの2カ国会談のほか、非公式BRICS首脳会議の開催などをこなした。

トランプ米大統領との首脳会談では、ベネズエラの民主化支持、台頭する中国の経済活動によるリスク、ブラジルのOECD加盟などについて意見交換が行われたほか、会談後のボルソナーロ大統領のツイッターによれば、将来的なブラジルと米国との自由貿易協定(FTA)の可能性も話題に上ったとされる。

日本の安倍晋三首相との首脳会談では、両国間の貿易・投資の促進、治安、防災、環境保全、刑事司法、教育、ベネズエラ避難民支援などの協力について意見交換した。会談後のボルソナーロ大統領のツイッターによれば、(新素材の)ニオブやグラフェンの研究や利活用についても話題に上ったとされる。

BRICS非公式首脳会議は、2019年のBRICS議長国であるブラジルの呼び掛けで、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国の首脳が集まり開催され、共同声明を出した。同声明では、次の点について、言及があった。原文はブラジル外務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに掲載されている。

  • 貿易とデジタル経済の関係の重要性
  • WTOを中心とした自由貿易体制の堅持、WTO改革への支持
  • テロリズムへの非難
  • 腐敗対策へのコミット
  • 再生可能エネルギー分野での協力
  • 地球温暖化対策に関するパリ協定へのフルコミット

また、ボルソナーロ大統領は、BRICS非公式首脳会議後のインタビューで、2019年下半期に中国やサウジアラビアへの訪問の意向を示すなど、投資や貿易の面で重要なパートナーである中国やアラブ諸国との関係も重視する姿勢をみせており、政権発足前後の親米、親イスラエル、嫌中のスタンスから、経済的な利害関係を意識した全方位的な対外政策運営へとシフトしてきている。

(岩瀬恵一)

(ブラジル)

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