シーメンスの合弁会社、ガスタービンの生産現地化拡大に向け特別投資契約を申請

(ロシア、ドイツ)

欧州ロシアCIS課

2019年07月23日

ドイツのシーメンスとロシア重電大手シロブィエ・マシヌィの合弁会社「シーメンステクノロジーガスタービン」(STGT)は7月2日、ロシア産業商務省に対し、大出力ガスタービン「SGT5-2000E」の現地生産に向け、特別投資契約(SPIC)を申請したと発表した。SPICの枠内で、STGTは2023年半ばまでに、高温ガス通路構成部品とガスタービン自動管理システムの現地化を図り、同タービンの現地調達率を90%に引き上げるとしている。

高温ガス通路構成部品には、ブレード、インナーケーシング、燃焼部バーナー、ガスディストリビューター、燃焼部混合ケーシング含まれているが、これらの現地生産に向け、シーメンスは潜在的サプライヤーを決定したとし、ブレードについては、ガスタービンエンジン製造大手ODKサトゥルンに、セラミックタイルについては、航空宇宙用途部品大手メタリスト・サマラなどに、製造に必要な仕様書を送付した(シーメンス・ロシア発表7月10日)。

ロシア主要経済紙「コメルサント」(7月10日)によると、「SGT5-2000E」の出力は187メガワットで、ロシア国内で最も需要があるガスタービンとしている。2024~2025年までに、現在62%の現地調達率を100%に引き上げるとし、これに向け、シーメンスは2022年末までに10億ルーブル(約17億円、1ルーブル約1.7円)を投じるようだ。ロシア産業商務省は、(熱併給発電所の大規模近代化プログラムに基づき)大出力ガスタービンの需要は、2035年までに80基あるとし、このうち42基の受注が確保できれば、シーメンスの投資は回収できるとみている。他方、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)とロシア電力輸出入会社インテルラオの連合、イタリアのアンサルドエネルギアとロシア大手行ガスプロムバンク傘下の電機大手レプ・ホールディングの連合も、タービンの生産現地化を試みており、シーメンス陣営のライバルになるとみられている。

(齋藤寛)

(ロシア、ドイツ)

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