中国、ビジネス環境改善条例の意見募集を開始

(中国)

北京発

2019年07月26日

中国の国家発展改革委員会(発改委)は7月14日、「ビジネス環境改善条例外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の意見募集稿を公表した。同条例は、国務院が進める「放・管・服」(行政簡素化と権限委譲、監督管理の強化、サービスの最適化)改革を徹底し、政府機能の転換を推進し、安定し公平で透明性の高い予見可能なビジネス環境の構築を加速するために発改委が中心となって起草したもの。意見募集は8月12日まで受け付ける(各章の構成と内容は添付資料を参照)。

同条例は、中央・地方政府による政策策定や執行を規範化する趣旨の規定が目立つ。具体的には、行政機関の自由裁量権行使の規範化、県級以上政府の行政サービス評価と評価結果の業績評価への反映、重大な行政法執行の決定を行う際の事前の法制度審査、市場主体の利益・権利義務に重大な影響を与える政策策定時の意見聴取、市場主体の経済活動に影響する政策策定時の公平競争審査実施、規範性文件の合法性審査、公布から施行までの十分な準備時間の確保、法規に基づかない優遇措置の禁止などがある。

また、在中国日本企業が「中国経済と日本企業白書」で提起していた、企業に対して行政指導などを行う際には根拠を書面で示すこと、という内容も盛り込まれ、証明書類の提示がない場合、市場主体は行政検査を受けることを拒否できるとされた。さらに、行政検査を行った後は、書面で決定・結論を通知しなければならないと規定されている。

一方、市場主体が各種の重大行為を行った場合に市場から強制的に退出させるとの規定や、統一した市場主体信用記録を整備し、信用失墜主体に対して共同懲戒を行うとの規定も含まれている。

中国政府は、世界銀行の評価指標などを活用したビジネス環境評価を2018年から一部の都市で実施するなど、企業活動をめぐる環境の改善に力を入れている。また、発改委は今回の条例案の公表に先立つ6月22日に「市場主体退出制度の整備を加速する改革方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を他部門と共同で策定した(公表は7月16日)。発改委担当者は、同方案により、遅れていた破産制度の整備が進展することで、ビジネス環境の改善に大きく寄与するとしている。

(小宮昇平)

(中国)

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