建設工事が順調に進行する首都圏パティンバン新港

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年07月25日

インドネシアの首都ジャカルタから東へ約120キロの地点で、大型海上港湾であるパティンバン港の建設が進む。8月から造成予定地の海中の土壌を改良し、埋め立てる作業が開始される予定だ。埋め立てには土砂とセメントなどの混合物を使用するCPM(Cement Pipe Mixing、管中混合固化処理工法)が用いられる。

パティンバン港第1期工事は、1,189億円に上る日本のODAの有償資金協力によって開発される国際港湾プロジェクトだ。国際協力機構(JICA)によると、完成から2年後には、同港の年間コンテナ貨物取扱量80万TEU(20フィートコンテナ換算単位)、年間の完成車取扱量36万台を見込んでいる。

パティンバン港については、2017年11月に円借款契約が取り交され、2018年中に工事が開始された。現在、国道から港までのアクセス道路(約8キロ)、海上でのくい打ち作業、地盤改良工事であるCDM(Cement Deep Mixing、深層混合処理工法)が進められている。

JICAによると、2020年に第1期工事のうち、自動車用ターミナルとコンテナターミナルが完成する。2021年に港と陸地を結ぶ連絡橋が完成し、使用可能となる見込みだ。

現在、ジャカルタ首都圏唯一の国際港であるタンジュン・プリオク港は、年間コンテナ取扱量が急増しており、数年のうちに取扱可能量の上限に達すると予想されている。また、慢性的な交通渋滞により、日系企業の工場が多く集積する首都圏東部の工業団地とのアクセスが悪く、長年ビジネス環境上の課題となっていた。パティンバン港が完成すれば、首都近郊で利用できる国際港が増えるため、ロジスティクスの抜本的な改善になると期待されている。

写真 パティンバン港完成予定図(JICA提供)

パティンバン港完成予定図(JICA提供)

写真 アクセス道路工事(2019年7月)(ジェトロ撮影)

アクセス道路工事(2019年7月)(ジェトロ撮影)

写真 海上でのCDM作業現場(2019年7月)(ジェトロ撮影)

海上でのCDM作業現場(2019年7月)(ジェトロ撮影)

(中沢稔)

(インドネシア)

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