住友不動産、ムンバイ中心部でオフィスビル用地取得

(インド)

ムンバイ発

2019年07月24日

住友不動産は7月17日、インド最大の商業都市マハーラーシュトラ(MH)州ムンバイ中心部のオフィス街バンドラ・クルラ・コンプレックス(通称BKC)にオフィスビル用地を取得したと発表した。用地は1万2,486平方メートル、取得価格は約224億ルピー(約358億円、1ルピー=約1.6円)で、取得したのは80年間の借地権となっている。同地の入札を行ったムンバイ都市圏開発機構(MMRDA)と住友不動産との調印には、デベンドラ・ファドナビス州首相も出席した。今回の用地取得は、近年では国内最大級の取引となっている(「ミント」紙7月18日など)。

同社の発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、延べ床面積で約9万9,000平方メートル程度のオフィスビルの建設を想定している。日系企業の不動産投資については、北部ハリヤナ州での住友商事のマンション事業(地場企業との合弁事業)や、南部チェンナイでの三菱商事が出資する住宅開発プロジェクトが挙げられるが、日系企業が土地取得から不動産開発を行うプロジェクトは極めてまれだ。

BKC地区はインド準備銀行(中央銀行)や証券取引委員会、国立証券取引所、ボンベイ証券取引所など主要な金融関係機関が立地するほか、インド各銀行の本店や欧米金融機関の支店、日系企業では三井物産や伊藤忠商事、丸紅、三井住友銀行、大和証券など約20社がオフィスを構えている。また、2023年開通予定のMH州ムンバイとグジャラート州アーメダバードを結ぶ日本式新幹線の始発・到着駅が建設されるほか、地場財閥リライアンスグループがショッピングモールや展示場を含む大規模なコンベンションセンターの開業を予定しているなど、さらなる発展が見込まれている。同地区のオフィス賃料は年々上昇しており、インド全体でも最も高い価格帯に属している。

インド全土、特にムンバイなどの大都市ではオフィス供給が不足しているとの調査もあり、外資系も含めてオフィスビルへの投資は活発だ。直近では6月に米系プライベートエクイティ(PE)ファンドのブラック・ストーン・グループが日系企業も入居するBKC地区の「ONE BKC」の一部を取得し、7月には同様に日本人が多く暮らすムンバイ北部のポワイ地区にあるオフィススペースを取得している。コワーキングスペース(共用オフィス)の建設や投資も増えつつある。

(比佐建二郎)

(インド)

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